159人が犠牲、韓国「梨泰院」雑踏事故から3年…日本人女性が目撃した直後の現場 「数分離れたところではまだ踊っている人が」

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

倒れている女性の肌の色が土気色

 その後、人の波に押されて歩くと、

「みな心肺蘇生とかしているので、酔っ払いとは違うなと。それを動画とかに撮っている人が多かったです。倒れている女性の肌の色が土気色というか、生きた人間じゃないようで、見ちゃいけないものを見ちゃったと思いながら、戻ることもできず、人の流れに乗って歩きました。

 救急車はすごい数になりましたが、警察が人を誘導するようなことはなかったですね。とにかく梨泰院全体がすごい人混みで、事故現場から2、3分離れたところでは、まだハロウィンで踊り狂っている人もいました。欧米系の人も多く、事故現場の間近で、熱狂は覚めやらない感じでした」

 なにやら無秩序が長く放置されたようで、当局の初動の対応に問題があった印象も受ける。ソウル在住ジャーナリストによれば、

「梨泰院は街の入口が三叉路のようになって、普段から通り抜けるのにすごく時間がかかります。救急車が入るのも大変だったはずで、どの程度の規模の事故なのか、当初は警察や消防も把握できなかったでしょうね。最初、死者は50人くらいと言っていたのが、結果的に3倍以上だったのがその証拠です。近隣の救急車両はみな向かったにせよ、スムーズに連携できなかったのではないでしょうか」

警戒していたわりには警備が手薄

 韓国コラムニストの児玉愛子さんも言う。

「コロナが落ち着いて3年ぶりのお祭りで、知人の韓国人も、今年は人が大勢集まるだろうと警戒していたそうです。そのわりには警備が手薄で、事故前の動画にも警備員らしき人が見えません。コロナ前のハロウィンでは警備員が一方通行になるよう誘導していたのに、それもなかった」

 そこでいま、

「韓国のSNSでは、尹錫悦大統領が青瓦台を出てマンションで暮らし、大統領府も龍山という場所に移してしまったので、警備の人員をそちらに割かれ、足りなくなっていたのではないか、と攻撃されています。実際、知人の韓国人に事故のことを聞くと、3人とも、通常の警備体制なら起こらなかった事故だ、と言っていました」

 先のジャーナリストも、

「300人以上の死者行方不明者が出た2014年のセウォル号沈没事故以来の大事故だから、政権のダメージも大きい」

 と述べるのである。

次ページ:狭い場所に人が集まりやすい事情

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。