「一度は5000万円取り戻した」 ついに初公判「山上徹也被告」 「旧統一教会」との金銭トラブルと“凄絶ネグレクト”

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「うちの妻を勧誘することも過去にあったみたいで…」

 山上家、そして伯父とトラブルを抱えていたことについて、統一教会の広報は、

「(徹也の)お母さんは1998年に入信しています。(トラブルについては)私どもがお母さんと接触できていないため、お答えできません」

 実は事件発生直後、徹也の実家から一人の人物が警察やメディアの目をかいくぐり、“脱出”していた。徹也の母、その人である。

「射殺事件の起きた日の午後、母親は実家にタクシーを呼び、密かに大阪府内の一軒家に向かっていることが確認されています」(捜査関係者)

 彼女が向かった先がこの伯父の自宅だった。

「事件後はすべてが大変やからね、私が呼んだんですよ。いまうちの部屋におりますけどね、元気ですよ」(伯父)

 伯父は元総理を射殺した凶悪犯をかばい、その遠因を作った母をかくまう。

 先の親族がうつむく。

「(徹也の母が)うちの妻を勧誘することも過去にあったみたいで、彼女からの連絡は拒否していました。この状況であってもあの母親とは話したくないんです。でも子どもにとって、母親は絶対なんでしょうね。なんぼ憎くても母親を撃つことはできへん、だから安倍さんを撃った。そうじゃないかと思えてきて……」

 ***

 以上が山上被告の事件までの半生である。弁護側は山上被告の母や親族、宗教学者などを証人に出廷させ、家庭環境が事件に与えた影響の大きさを強調し、減刑を狙う見通しだ。一方の検察側は、「宗教論争の場ではない」として、生い立ちと事件とを切り離し、殺意の強さや犯行の計画性を重点的に立証する方針と見られている。

 10月28日から計19回開かれる公判で、事件の全容は解明されるのか。そして注目の量刑は――。判決は、来年1月21日に下される見通しだ。

【前編】では、山上被告の母の宗教への傾倒ぶりとネグレクト、そして父の自殺について詳述している。

デイリー新潮編集部

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