「一度は5000万円取り戻した」 ついに初公判「山上徹也被告」 「旧統一教会」との金銭トラブルと“凄絶ネグレクト”

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 10月28日、安倍晋三元総理を殺害した容疑で起訴された山上徹也被告(45)の公判がスタートする。公判で焦点となるのは、量刑に、彼が抱えた「家庭の問題」がどの程度反映されるか、という点だ。山上被告の母は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信仰に傾倒し、多額の献金を行って一家は崩壊した。被告本人も警察の取り調べに「教団へ恨みがあった。安倍元総理が教団とつながりがあると思って狙った」と述べている。弁護側は山上被告の母や親族、宗教学者などを証人に出廷させ、家庭環境が事件に与えた影響の大きさを強調し、判決への“考慮”を求める見通しだ。

「週刊新潮」では、事件当時、山上被告の周辺を取材し、その凄絶な生い立ちを詳らかにしている。以下は、その再録である。【前編】では、山上被告の母の宗教への傾倒ぶりとネグレクト、そして父の自殺について明らかにした。【後編】では、一家のその後について詳らかにする。いよいよ窮乏に瀕した山上被告の母は、旧統一教会の信仰に没入するようになる。そして一家はどん底へと陥り……。

【前後編の後編】

(以下は、「週刊新潮」2022年7月21日号記事を一部加筆修正の上で、再録したものです。年齢や肩書などは記事掲載当時のままです)

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母の入信

「徹也の兄は小児がんを患っていて、手術もしています。片目も失明しており、普段の生活にも苦労していました」

 と明かすのは一家の面倒を見てきた弁護士資格を持つ父の兄、すなわち徹也の伯父にあたる人物である。

「(徹也の)父が亡くなり、兄も病気でした。そうしたことがきっかけになり、父が亡くなってずいぶん経ってから、母は統一教会に入信したんですわ」

 彼女は熱心な信者となり、度々、子供を置いて、長期にわたり渡韓するほどだったと続ける。

「子供たちはその間、食べるもんがなかったんですよ。だって、母親が日本におらんかったからね。自分は韓国に行き、ずっと放っておいた。ネグレクトどころではない、もっとひどい状態です。兄は病気で自分で食事を作ることもできない。その兄が電話をかけてきて、“食べるものがない”と。お金を持って行ってあげたりしていました。すると、冷蔵庫の中には食料がまるでないんですわ……」

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