「おしっこやうんちで重くなったおむつをはいて徘徊…」 いよいよ初公判「山上徹也」被告の凄絶な幼少期 母は宗教に傾倒、父は自死
10月28日、安倍晋三元総理を殺害した容疑で起訴された山上徹也被告(45)の公判がスタートする。事件から3年3カ月が経ち、ようやく開かれる初公判。全容解明が期待される。
【画像9枚】自殺した父と兄、宗教に貢ぐ母 山上容疑者の複雑な家庭環境
被告は殺人自体の事実は争わない方針とされる。そのため焦点となるのは、量刑に、彼が抱えた「家庭の問題」がどの程度反映されるか、という点だ。山上被告の母は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信仰に傾倒し、多額の献金を行って一家は崩壊した。被告本人も警察の取り調べに、「教団へ恨みがあった。(安倍元総理が)教団とつながりがあると思って狙った」と述べている。弁護側は山上被告の母や親族、宗教学者などを証人に出廷させ、家庭環境が事件に与えた影響の大きさを強調し、判決への“考慮”を求める見通しだ。一方の検察側は、「宗教論争の場ではない」として、生い立ちと事件とを切り離し、殺意の強さや犯行の計画性を重点的に立証する方針と見られている。
双方の主張は今後、19回開かれる公判で明らかになるが、いずれにせよ、山上被告の半生が苦悩の連続であったことは間違いない。「週刊新潮」では、事件当時、山上被告の周辺を取材し、その凄絶な生い立ちを詳らかにしている。山上被告が幼い頃から見続けてきた光景とは一体、何か。以下、当時の記事を再録し、今後の裁判を理解する一助としていこう。
【前後編の前編】
(以下は、「週刊新潮」2022年7月21日号記事を一部加筆修正の上で、再録したものです。年齢や肩書などは記事掲載当時のままです)
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「(妻の)韓鶴子を狙っていた」
現職の政治家、それもいまだ自民党内で権勢を振るう、最大派閥の長でもあった安倍元総理を公衆の面前で射殺したのは、奈良市在住の山上徹也容疑者(41)だった。当人は警察の取り調べに、
「母親が統一教会に多額の寄付をして家庭が崩壊した」
「(創始者の)文鮮明がアメリカで有罪判決を受けたため、(妻の)韓鶴子を狙っていた」
「コロナで韓鶴子が来日できないので、標的を変えた。統一教会と関係の深い岸信介の孫を狙った」
と供述しているという。
安倍元総理は祖父の岸信介元総理とともに教会との関係の近さが報じられたことがあり、関連団体の式典に祝電を送ったことも。これらの供述から分かる通り、徹也が歪んだ殺意を抱くようになった背景には「宗教」があった。その履歴をたどると、彼の人生を大きく左右したのは宗教にのめりこんだ実母(69)の存在、さらには家族を次々と襲った「自殺の連鎖」であった。
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