「みどりの窓口を復活させたほうがいいのでは…」 JR東日本「指定席券売機」刷新で“きっぷの払い戻しが簡単にできる”はずが例外も
駅員もシステムを理解できていない
実際、こういった指定席券売機の複雑なシステムは、現役のJR東日本の社員にとっても悩みの種なのだという。社員のひとりは、こう打ち明ける。
「私が勤務する駅にも指定席券売機が1台設置されていますが、システムについては、我々も理解できているかというと自信がありません。そのうえ、これまでにも何度か、社員がよくわからないまま、いきなり指定席券売機のシステムが改良されたことがありました。今後も同じようなことが起こる可能性があります」
みどりの窓口がある駅ではいまだ行列ができていることが多いが、少しでも列を短くするため、駅員が指定席券売機で購入するように誘導する光景が見られる。しかし、いざ、指定席券売機を操作してみたら「取り扱いしておらず、買えなかった」というケースはよくある。そのため、利用者から駅員が責められることも多いという。
「みどりの窓口でできることが指定席券売機ですべてできるようになれば、かなり行列は緩和できると思います。鉄道ファンや旅行慣れしている人は、指定席券売機を操作できるでしょうから。ネットでもそういった意見を書いている人はずっと前からいますが、一向に改良されていません」(前出のJR東日本社員)
外国人観光客の増加に追い付いていない
鉄道ファンの間では、みどりの窓口と同じ機能を指定席券売機に持たせてくれれば、それで良いと考えている人は非常に多い。しかし、そういった提案を受け入れないままみどりの窓口を減らしているので、いまだに混雑しているのである。前出のJR東日本の社員は、「今回の指定席券売機の改良は、みどりの窓口の混雑の解消にそれほど効果を発揮していないのではないか」と話す。
「券売機が改良されたことで、みどりの窓口の列が短くなったという話は聞きません。数人程度であれば、短くなった可能性はあるかもしれませんが……。これには、外国人観光客が増えていることも影響しています。やはり外国人にとっては指定席券売機の操作が難しく、どうしてもみどりの窓口に並んでしまうんですよね。
現状ではみどりの窓口が万能で、“みどりの窓口でしかできないことが多い”ため、列が短くなることはないと思います。“東京発東京行き”みたいな、いわゆる一筆書き切符のような特殊な切符も、自在に発券できるようにするべきです。そうすれば、かなり混雑が緩和され、現場の駅員の負担も軽減されるのではないでしょうか」(前出のJR東日本社員)
なお、“東京発東京行き”の一筆書き切符とは、東京から北陸新幹線経由で金沢に向かい、福井、敦賀、名古屋などを経由し、東海道新幹線で東京に戻ってくるといったルートの切符である。使い方によっては単純往復するよりも安くなるため、鉄道ファンには愛用者が多い。
操作の仕方次第では、指定席券売機でも発券できるケースがあるが、東京発東京行きは他にも様々なルートが可能である。指定席券売機はすべてのルートに対応しているわけではないため、みどりの窓口の優位性には変わりはないようだ。
この原稿を書く前、池袋駅に寄ったらみどりの窓口に外国人観光客が列を作っていた。一刻も早い指定席券売機のさらなる機能強化と、できればみどりの窓口の復活を求めたいものである。






