【寄稿】山尾志桜里氏が自維政権へ提言「憲法と皇室問題は国民的合意がカギ」「与党協議より超党派の議論を前に進めよ」

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「土台」の補修には国民のおおよその理解・納得が不可欠

 なぜなら、この自民・維新の2党では掬い取れない民意、すなわち改憲反対の声も女系女性天皇を求める声も相当の割合で存在するのが現実だからです。同じ方向を向いている自民と維新とでさらに精緻にすり合わせるよりも、違う方向を示す民意と向き合って尊重し、どう結論を導くかが実行の肝だと思います。

 私自身は大枠で維新の9条及び緊急事態条項の改憲案に賛同している一方、皇室の男系男子養子縁組案には消極の立場なので、賛否でいえば半々なのですが、大事なのは実行するためにどう合意をつくるかだと言う点を強調したいと思います。

 頑固な護憲主義に馴染めず立憲民主党を離党した経験もある私としては、具体的に議論を前に進める必要性は痛感しています。ただ、憲法と皇室はこの国の土台です。その土台の補修には国民のおおよその理解・納得が不可欠なので、政治家は、良かれと思う自分の選択を少し抑えても、国民の議論を見定める度量が求められていると感じます。

 前編【山尾志桜里氏が高市首相にエール「女性初総理を祝福できないリベラルの自己矛盾」「今回玉木さんは総理を目指さなくて良かった」】では、一部の女性政治家や有識者からが「女性なのに保守」という理由で高市首相を批判していることへの「反論」を展開。野党連立が成就しなかった理由についても詳しく分析している。

山尾志桜里(弁護士・国際人道プラットフォーム代表理事)
仙台生まれ、東京育ち。東京大学法学部卒業後は検察官に任官。2009年より3期10年衆議院議員を務め、待機児童問題・皇位継承問題・憲法問題・人権外交などに取り組む。現在は弁護士、一般社団法人国際人道プラットフォーム代表理事、「人権外交を超党派で考える議員連盟」アドバイザー、対中政策に関する国際議員連盟IPAC(Inter-Parliamentary Alliance on China)日本ディレクター。著書に「立憲的改憲」(ちくま新書)。

デイリー新潮編集部

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