岩手県内で相次いだ衝撃的な“熊害”は同じツキノワグマによるものか? 専門家が「兄弟クマ」による“狂暴化”を疑う理由

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「次の次元」に踏み込んだ可能性

「ツキノワグマと人間が出くわしてしまい、結果的に人間が死亡したとします。その瞬間、クマが遺体を“エサ”として認識してしまうのは仕方ありません。ツキノワグマはヒグマほど力がありませんが、それでも他のクマにエサを取られないよう、遺体を川のほとりなどに引きずっていくことは習性と言っていいでしょう。一方、明治初年まで遡るとツキノワグマによる死亡例は68人(狩猟事故を除く)あって、そのうち23人が食害されています(註:2024年現在)。死亡事故は非常に少なく、食害など無視してもいいのですが、近年の増加傾向をみると次の次元へと踏み込んできているようです」(同・米田氏)

 北上市のケースが専門家にとっても非常に珍しいというわけだ。“人食いツキノワグマ”が誕生したのか、今後も増えていくのか、我々が不安になるのも当然であり、徹底した調査が求められている。

 第1回【「ツキノワグマ」は“喰うために”次々と人を襲ったのか…専門家は「過去の常識では考えられない異常事態」の可能性を指摘】では、岩手県北上市でクマが何をしたのか、その時系列を詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部

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