「こじるり再起動」が刺さらない理由……「強くて明るい彼女」に、なぜ人はモヤモヤするのか
ベッキーも陥った「ポジティブ才女」からの転落 人によって態度を変える効率主義のリスク
好感度タレントの筆頭だったこじるりの人気が暗転したのは、コロナ禍での人気漫画家とのデートが報じられたことだった。番組で共演した時にファンだと公言し、当時妻帯者だった漫画家にアピールしたのでは、という略奪愛疑惑は瞬く間に広まった。人気絶頂期に「勝ち組の男」を射止めた構図が、「やっぱり計算してる」と受け取られてしまったのだ。
それほどまでに、彼女の「見えすぎる行動」は人々の臆測を生む。後に漫画家本人が交際は離婚後のことだと改めて否定しているが、離婚のきっかけを作った悪女というイメージは今も消えることがない。破局後に出演した女性同士のトークバラエティーでの、「交際前に体の相性を確かめる」というこじるりの発言も、疑惑を再炎上させてしまった。
男性には「ファンです」とおだてて気を良くさせ、女性にはぶっちゃけトークで共感を得る。「見えすぎる」こじるりだからこその処世術は、その時ばかりはどちらもマイナスに働いてしまったといえる。そして好感度を回復できないまま、突然中国留学を発表したのも、「逃げている」という印象を与えてしまったのではないか。さらにいえば、中国留学からそう月日がたたないうちに、結婚・出産が続いたことも、「タレントとしての軸が定まらずフラフラしている」という批判を招いた。
自分の目の前にいる相手には言葉を尽くすが、姿の見えないファンは置いてけぼり。そんなふうに見えてしまっては、人気商売である芸能人はやっていけない。それもコスパ至上主義の一つといわれても、計算ができて賢いねと褒めることができる人は少ないだろう。
それはベッキーさんの浮き沈みにも重なる。彼女もまた、明るいはつらつキャラでバラエティー番組の回しが非常にうまかった女性だが、一度のスキャンダルで追い込まれた。いつでもポジティブで礼儀正しい才女というイメージで売りながらも、“不倫を認めずうそをつき通す”と楽しげに不倫相手に送ったLINEの文面が報じられた時、彼女の「賢さ」は「小賢しさ」へと変化したのだ。テレビ画面の中でどんなに誠実な言葉を重ねても、実際の行動が伴っていなければかえってイメージは悪くなる。それは立ち回りのうまい「才女」キャラほど顕著なのである。
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