月9ヒロインに初君臨「沢口靖子」がスゴかった! 「脳内に棲みついた榊マリコが消えていく」
冒頭では2026年。場所は海外のようだ。防弾チョッキを身に着けた総理大臣(板谷由夏)に付き添いながら、特殊部隊と共に走る沢口靖子。巨大詐欺グループのアジトと思われる建物にたどり着くも、仕掛けられていた爆弾が爆発……。あらまあ大変。ビッグヒットじゃないにもかかわらず、上戸彩→沢村一樹と主演を挿(す)げ替えて続いている、謎と闇の深い「絶対零度」シリーズ。未解決事件担当部署から犯罪を未然に防ぐAIシステム部署と、何が絶対零度なんだかよく分からないまま、今度は情報犯罪専門部署っつう。ハコはさておき、沢口靖子がはじけたというか超張り切っていて、目を見張るものがあったので書いておこうかなと。
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とにかく走るのよ、靖子が。真顔で。外でも内でもとにかく走る。しかもすごく速いの。ストライド大きめののびのびとしたフォームで走る姿に、「沢口靖子っていくつだったっけ?」と調べ直しちゃった。すごいよ、姐さん。京都で相当走り込んできたに違いない。
沢口は科捜研の研究員に鉄道捜査官、機動捜査隊の捜査員と、日本の警察ドラマ界をけん引してきた立役者の一人ではあるが、今回は元気はつらつの最年長刑事設定。元生活安全課の巡査部長だそう。主に警察組織での活躍を30年以上見てきただけに、沢口の年齢設定には脳が誤作動を起こす。
しかも今回の二宮奈美は感情を表に出す陽キャ設定。外見は確かに若く見えるが、その落ち着いた所作とにじみ出る品格には経験値と年輪を感じずにはいられない。まさに年齢不詳。何歳設定なのかしら、と思っていたら、特殊詐欺の捜査に協力してくれた女性(梅沢昌代)を母と比べるような会話を展開していたことから、40代後半と推定。んでもって、劇中、カラオケで踊りながら熱唱していたのはなんとVaundyの「怪獣の花唄」。脳内に長年棲みついた榊マリコが消えていく瞬間も体験。悲しいような、うれしいような。いや、あっちが終わるわけじゃないけれど、もう解放されてもいいんじゃないかとも思うのよね、科捜研と科学の力から。
軽口たたいて笑うし、まんじゅう勧められたら遠慮せずいただくし、警察の配慮が足りずに犯罪被害者を生み出してしまったことを悔やんで涙をにじませるし、憤って叫んだりもする。喜怒哀楽が機能する沢口靖子が思いのほか新鮮だったのよ。
あ、アクションシーンもほんのり。バールのようなものを持って襲いかかってきた犯人(少年)を、片手でいなして直立不動のままラリアットでぶっ倒す靖子。
年齢不詳&関西人設定は崩さなかったものの、走って歌って踊る月9ヒロインとして初君臨した靖子に盛大な拍手を送ろうと思って。
あ、靖子に夢中で概要も登場人物も蔑ろにしてしまった。情報犯罪特命対策室は内閣官房直轄。副長官を演じる安田顕は何やら含みあり。失踪中の初代ヒロイン・上戸彩が準レギュラーの横山裕に相変わらず連絡してくる含みもあり。つうか、特殊詐欺ってすごいスキームよね。警察も歯が立たないわけだ。令和の闇。









