「転職なんて当たり前」の時代だからこそ「会社にしがみつく人生」が有利になる理由…65歳を過ぎてから威力を発揮する“転職0回の強み”とは

ライフ

  • ブックマーク

会社にしがみつく人生も否定できない

 そうしたマジメ一筋のような人物がJICAの審査に通り、ロシアの自動車普及のため、モスクワに派遣されることとなった。給与も決して少なくない、それどころか聞いて驚くほどだった。そして無事任期を終え、日本に戻ってきたら今度はパキスタン赴任となった。かくして70歳を過ぎても高収入を得る結果となったのだが、「同じことやり続けたからこそ、こんなボーナスが人生の晩期に来たのかな……。私は転職しないで良かった」と語っていた。

 彼のような人生はかなり珍しいかもしれないが、一つの会社に「しがみつく」ことで得られるものは案外多いのではないかと思われる。それこそ、定年退職後、毎年1回花見をする、当時の仲の良いメンバーで旅行をする、といったことが考えられる。お金の問題はあるものの、長年払い続けた厚生年金もあるし、長年勤務しただけに退職金もそこそこあるだろう。

 私自身、こうした人材を見てきたからこそ、あまり「会社にしがみつく人生」を否定できないのである。むしろ羨ましいとすら思う。よくぞ一社だけで定年までの長期間を乗り切りましたね、と。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。