今季限りで引退 中田翔は“珍プレーの帝王”でもあった! 膝を痛めて「四つん這い」で必死の帰塁…スタンドも爆笑

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 今季限りで現役を引退した中日・中田翔は、プロ1年目から約14年間在籍した日本ハム時代は、不動の4番打者であるとともに、“珍プレーの帝王”でもあった。今となっては懐かしい珍場面の数々を紹介する。【久保田龍雄/ライター】

一生に一度あるかないか

 拙守が災いし、先輩・ダルビッシュ有がプロで初めて打たれたランニングホームランを“アシスト”してしまったのが、2011年7月7日のロッテ戦だ。

 0対0の3回2死、ダルビッシュは渡辺正人に左前にライナー性の打球を打たれたが、レフト・中田がバウンドを合わせ損ねて後逸したことから、まさかのドタバタ劇が幕を開ける。

 さらにフォローに回ったセンター・糸井嘉男までバランスを崩して尻もちをつき、ボールはフェンス際まで転がっていった。

 この間に渡辺は全力疾走で二塁を回って三塁へ。さらに、上川誠二三塁コーチが腕を回しているのを見ると、一気に本塁を狙い、最後は間一髪のタイミングながら、ヘッドスライディングで生還。先制のランニングホームランとなった。

「足がもつれていたし、向かい風がきつかった。最後は足で行くより、このまま倒れたほうがいいかなって感じで飛び込みました」という渡辺は青息吐息。待望のシーズン1号にもかかわらず、「ホームランを打った気がしないです」と実感が湧かない様子だったが、皮肉にもこれがNPBにおける最後の本塁打になった。

 一方、まさかのランニングホームランを初体験する羽目になったダルビッシュは「しょうがないと言うか、ああいう経験は一生に一度あるかないか。(中田には)『気にするな』と言いました。あいつにとっても、僕にとってもいい経験ですから」と神対応を見せていた。

 その後、試合は渡辺のランニング弾を中田とともにアシストした糸井が右越えに名誉挽回の逆転2ランを放った。3対2の8回には稲葉篤紀の右越えソロが飛び出し、8回2失点のダルビッシュが11勝目を挙げた。

桁外れのパワー

 自らの拙守を帳消しにするナイスフォローを見せたのが、2012年7月5日のオリックス戦だ。

 2点リードの2回1死一塁の守備で、中田は竹原直隆の左前安打を捕球しようとした際に、なんとスパイクの刃を人工芝に引っかけ、スッテンコロリン!と前方に一回転してしまう。

 これを見た一塁走者・T‐岡田は二塁を回り、三塁を狙った。
ところが、中田はすぐさま体勢を立て直すと、「そうはさせじ!」とばかりに三塁に執念の送球。ワンバウンドながらドンピシャリのタイミングで、岡田をタッチアウトに仕留めた。

 結果的にトリックプレーとなり、リーグトップの7補殺目を記録した中田は「スパイクが引っ掛かった瞬間、やばいと思った。たまたまアウトになって良かった」と胸をなで下ろしていた。

 ドームの天井直撃弾を放ちながら、ローカルルールによってアウトになったのが、2014年6月4日の広島戦だ。

 6対2の7回、近藤健介の右越えソロの直後に打席に立った中田は「近藤に続け!」とばかりに、永川勝浩の直球を豪快にフルスイング。快音を発して一直線に上がった打球は、三塁ベース真上付近の天井を直撃し、天井パネルをグラグラと揺らした。

 中田も打球を見上げながら一塁を回り、二塁に向かったが、直後、落下してきた打球をセンター・丸佳浩が捕球したことから、札幌ドームのローカルルール(外野後方の照明から3枚分の天井パネルまでは本塁打と認定)により、中飛でアウトになった。

 それでも高さ63メートルの天井を直撃した桁外れのパワーに、スタンドはどよめき、沸きに沸いた。

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