今季限りで引退 中田翔は“珍プレーの帝王”でもあった! 膝を痛めて「四つん這い」で必死の帰塁…スタンドも爆笑

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何してんの?泳いでんの?プールと間違えた?

 実は、中田は2011年5月20日の巨人戦でも、日本人では初の“天井二塁打”を記録している。このときは、天井に当たった打球が左翼手の定位置の少し手前に落ち、ショート・坂本勇人が捕球し損ねたもの。この日の中飛も、丸がよろめきながら、やっとの思いで捕球しており、天井直撃打を打つことはもとより、捕球するのも難しいことを改めて印象づけた。

 結果的に安打を1本損した形の中田だが、「チームが勝てばいい」と気持ちを切り替えていた。

 2017年5月20日のオリックス戦でも、天井裏を通過して三塁ベース後方に落ちる珍二塁打を放ち、打った本人も「入るところがちげーよ」と目を白黒させていた。

 膝を痛めて歩けなくなり、四つん這いになって帰塁するというスタンドの笑いを誘発する珍プレーが見られたのが、2000年7月5日のソフトバンク戦だ。
5対3とリードの日本ハムは5回無死一、二塁、大田泰示が中飛に倒れたが、二塁走者の中田は、帰塁しようとした際に大コケして、右膝を強打してしまった。

「(センター・柳田悠岐の)捕り方が怪しかった。捕球体勢に入って、両手で捕りにいくような感じだったので、“あっ、落とす!”と思って。ちょっと滑ったのもあり、焦って戻ろうとして、つまづいたのもあり」と、いろいろな要因が重なり、思わぬアクシデントに見舞われた。

 膝が悲鳴を上げている状態では、2本の足で直立して走ることは無理だ。だが、帰塁できなければ、タッチアウトになる。

「必死だよ。あそこでアウトになっていたら、終わりやろ」と焦った中田は、必死に痛みをこらえながら、四つん這いになって二塁ベースを目指す。そして、最後の力を振り絞って、左手を伸ばしてベースにタッチした。間一髪で命拾いすると、ホッとして一気に緊張が緩み、しばらくの間、動けなかった。

 この“珍帰塁事件”の一部始終をベンチで見ていた栗山英樹監督は「何してんの?泳いでんの?プールと間違えた?」と情け容赦なく“口撃”しつつも、「でも、良かったね。大したことないから、冗談が言える。こっちが一番ドキドキする」と本音ものぞかせていた。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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