ハダカで大声、川に立ちション…注意すれば「日本語わからない」 隠れ民泊で荒れる高級別荘地「軽井沢」の実情

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 入れ墨だらけの若者や外国人たちがハダカで大騒ぎ。サウナから水風呂に飛び込み、嬌声を上げる。大音量で音楽をかけながら、深夜までバーベキューに花火。酔っぱらった挙句、ゴミも炭も犬の糞もそこらに捨て、川で立ち小便まで。

 ここは治安悪めのキャンプ場……ではなく。閑静な佇まいで知られる日本有数の高級別荘地・軽井沢。こうした光景が今、この地で急増しているのだという。【大川晶/ルポライター】

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 親から受け継いだ別荘で静かな生活を送っていたAさんは、2年ほど前、突然隣家が騒がしくなったと嘆く。

「民泊です。長いこと空き別荘だった隣が民泊業者に買い取られ、若者グループが日替わりで押し寄せ大騒ぎするようになりました」

 玄関にはキーボックスが取り付けられ、運営会社の表記等はなし。困ったAさんはすぐに長野県や軽井沢町などに相談したというが、

「ベランダや庭で深夜までバーベキューなどして騒ぐので、時間制限をして欲しいと県から伝えてもらいました。しかし、運営業者から『それはできない』と言われたとのことで、それっきり。町のほうは『相手に書簡を送る』と言っていましたが……」

 被害は解消せず。どころか、どんどんエスカレート。窓を開け放して深夜までカラオケ、森の中で打ち上げ花火。外国人が何十人も集まって大音量で音楽を流し、クラブのように踊っていたことも。都度、警察に通報して収めてもらっていたが、翌日にはまた同じような輩がやって来る。まるでタイムリープのように、毎日、悪夢の繰り返し。

 そもそも軽井沢では、町の条例で「民泊は禁止」とされており、貸別荘も1カ月以上から。1泊貸しもNGとなっている。問題はすぐ解決すると安心していたAさんだったが、町から「相手が電話に出ないので注意ができません」と言われてそれっきり。

隣にいきなりキャンプ場が…

 その後も被害は続き今年4月、隣が庭にコンクリートを敷き始め、屋外サウナを運び込むのを目撃し、すぐ町に通報したという。軽井沢町の条例では、宿泊施設が設備を増設する際は「町と協議が必要」と定められている。今度こそ町から指導が入ると期待したが、「現地に行ったが誰もいなかったので話ができませんでした」と伝えられて終わりだったとAさんは肩を落とす。

 実はこの時、町は事業者に電話で「サウナなどを増設する工事をしていませんか?」と尋ねている。しかし、業者の「していません」との虚偽の回答をもって、現地で設備を確認せぬまま対応が終わっていたのだった。

 気を揉む間にも工事は続き、設備はどんどん増設。そして7月、屋外にサウナ、水風呂、屋根付きバーベキュー小屋、大型バーベキューガスグリルが新設され、民泊はリニューアルオープン。

「隣にいきなりキャンプ場ができたようなものです。設備のせいで、屋外で過ごす人数も時間も格段に増え、昼から夜まで酒盛り。サウナから出ては咆哮し、嬌声と水音を上げて水風呂に飛び込む。常に水着姿、または一糸まとわぬ姿の外国人や若者が大勢ウロウロ。騒音もさることながら、地味に辛いのが臭いです。必ず大型ガスグリルでバーベキューをするので、肉や魚を焼く強烈な臭いが家に充満。避けるには窓を閉め切るしかなく、クーラーがないので、今夏は何度も熱中症になりかけました」

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