〈ふざけるなNHK〉 「NHK ONE」不具合連発で現場は大混乱 エースアナが続々謝罪の“異常事態”に
現場は大混乱
その後、徐々に不具合は解消されたものの、翌日午後2時に放送されたニュースでも、豊島実季アナが釈明に追われるありさまだった。
生放送番組で、次々とエースアナらがおわびを述べる。異例の事態に現場は大混乱に陥ったというが、いったい何があったのか。
前出の職員が続けて話す。
「新サービスは、テレビ・ラジオ番組の同時配信や見逃し・聞き逃し配信のみならず、『NHKニュース・防災アプリ』などのアプリや、『NHK NEWS WEB』をはじめとするホームページを集約。スマホやパソコン、ネットにつながるテレビなどで閲覧が可能で、従来から提供していたネットサービスは全て廃止となりました」
ゆえにNHKは、新サービスの利用にはアカウントを新規登録する必要があり、従来サービスの利用者も新たにアプリをインストールするなど移行手続きを行うよう広報していた。
「やはり問題だったのは、約600万人もの登録者数を誇る『NHKプラス』などの従来サービスを9月30日で一斉に廃止。移行期間を設けなかったため、新サービス開始直後からアクセスが殺到したことです。利用希望者は自身のメアドを登録すれば、NHKから認証コードが送られてくる。その数字を打ち込めば本人確認ができるというものですが、NHK側から肝心のコードが届かず、利用できない人が多発してしまったのです」(同)
NHKにしてみれば、早々のつまずきで散々な船出となってしまったのだ。
「困り果てていた時間が無駄でした」
しかも、NHKの対応を見る限り、ユーザー目線が欠けていると言わざるを得ない。
「私も新サービス開始直後に試してみましたが、登録がうまくいかない。イラつきながらアクセスを試みていたら、登録しなくても新サービスが使えることに気付いたのです」
と明かすのは、メディアコンサルタントの境治氏。
「少々分かりづらいのですが、『NHK ONE』の中の新アプリ『NHKプラス』を開くと、〈次へ〉と〈ログイン〉の二つのボタンがありました。後者だと登録したメールアドレスが必要になるのだろうと思い、試しに前者を押したら普通に見逃し配信も現在放送中の番組も見られた。登録や移行手続きをしなくても新サービスが使えるじゃないか。困り果てていた時間がまったくの無駄でしたね」
あれだけ登録を促していたのは何だったのかと憤る境氏は、こうも指摘する。
「NHKは不具合が起きた後も、登録手続きをしなくても使えることはほとんど周知していませんでした。NHKのテレビ番組は、受信料を支払わなくても視聴はできる。後からNHKの担当者が家に来るなどして契約を結び、料金を支払う。そうした公共放送特有の仕組みに準じて、アカウントの登録なしでも見られるようになっているのでしょう」
後編【「『NHK ONE』は、妥協の産物」 なぜ時代に逆行するサービスが生まれたのか 「現場の記者のモチベーションは低下している」】では、なぜ時代に逆行するようなサービスが生まれたのかについて、背景を報じる。
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