「高市さんは目を見開いて“ホンマに!?”と…」 自公連立解消のウラ側 一方、「高市氏はタカをくくっていたフシが」の指摘も
公明党内からは「われわれを軽視している」
麻生氏はかねて公明党とは距離があった。2年前、安全保障関連3文書の取りまとめを巡る当時の山口那津男代表(73)らの後ろ向きな対応を「がんだった」と批判。萩生田氏は裏金問題に関連し、自身の元政策秘書が政治資金規正法違反で略式起訴され、有罪判決を受けたばかりでもある。
「麻生氏は総裁選の決選投票で高市氏支持の流れを作った張本人。また、萩生田氏も総裁選の推薦人集めに苦労していた高市氏に生稲晃子参議院議員(57)ほか、複数の議員を水面下で紹介するなど大きな役割を果たした。今般、人事で登用され、高市体制を牛耳る形になった首魁二人を公明党側が嫌悪したのは間違いありません」
高市氏が政権を担ったその暁、官房長官に据えようとしているのは、公明党の選挙支援を受けない木原稔前防衛相(56)。公明党や創価学会と太いパイプを持つ菅義偉前副総裁(76)や森山裕前幹事長(80)らは要職に起用される気配がない。
公明党内からはいよいよ「われわれを軽視している」と憤りの声が上がり、8日には公明党が連立離脱を検討中だと報じられた。
「“ホンマに!?”と一言口にし、絶句」
高市氏はようやく9日、事態打開に向けて動き出す。
総裁の椅子を争った小泉進次郎農水相(44)の陣営についた菅氏、さらには岸田文雄前首相(68)の事務所を相次いで訪問したのである。
政治ジャーナリストの青山和弘氏が言う。
「とくに菅氏は創価学会の政治担当を長く務めた佐藤浩副会長(64)と親しいことで知られます。しかし、そんな菅氏をもってしても“自分が佐藤さんに言ってもダメだ。佐藤さんの範疇を超えている”と周辺に漏らしています。もはや、そのタイミングでの収拾は困難でした」
9日夜、緊迫の度合いは一気に増す。公明党は公明会館に地方議員を招集し、緊急の全国県代表協議会を開催。その後の中央幹事会で斉藤氏らに対応が一任され、翌10日の連立離脱通告への流れが出来上がった。
「前後して永田町では学会の原田稔会長(83)が連立離脱を指示したとの情報も広まりました。少なくとも、原田氏は離脱について了承しているとみていいでしょう」(政治部デスク)
もっとも、高市氏に局面の“決定的転換”が伝わったのは9日の深夜になってのことだという。
「高市氏は9日午後9時以降、NHKの『ニュースウオッチ9』、テレビ東京の『WBS』、テレビ朝日の『報道ステーション』に立て続けに生出演しました。そのせいか、公明党の動きがリアルタイムで耳に入っていなかったとみられます。午後11時前に赤坂の議員宿舎に戻った際、現場で待ち受ける総理番記者から公明党の最終的結論を聞かされ、目を見開いて“ホンマに!?”と一言口にし、絶句したそうです」(同)
かくて、冒頭の党首会談の場面に至る。
「斉藤氏らは企業・団体の献金先を政党本部と都道府県連に限定する“規制強化案”を受け入れなければ連立を離脱すると迫りました。高市氏らは“3日間の猶予が欲しい”と回答期限の延長を求めたのですが、斉藤氏らはかたくなに協議の継続を拒んだのです」(同)
それはまさに、最終宣告だった。
「自民党は、政党支部で企業献金を受けられなくなれば、地方組織が立ち行かなくなる。だから“規制強化案”はあまりに高いハードルです。先の国会で自民党は企業・団体献金の存続を前提に“公開強化案”を主張。議論が膠着(こうちゃく)し、法改正が見送られた経緯がある。この期に及んで棚ざらしになっていた、自民党が到底のめない“規制強化案”を公明党が持ち出したのは、連立解消ありきという結論があったからです」(同)
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