「魅力度ランキング」では最下位争いの常連も「佐賀県は意外といいところ!」…現地在住の編集者が物申す「知り合いがいれば魅力的に見える」

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 ブランド総合研究所による「都道府県魅力度ランキング」が発表された。トップ3は昨年同様、北海道→京都→沖縄の順番になった。一方、最下位(47位)は昨年46位の埼玉で、46位は昨年45位の茨城、45位は昨年最下位の佐賀県になった。

 毎年最下位争いが注目され、場合によっては下位にランキングされた知事がキレて同社に乗り込んだりする例すらある。そこまで怒らないでもいいのに大人げない……とは思うものの、知事本人からすれば我が地元をけなされたと思うとともに、自分自身のPR不足を突かれたように思うのだろう。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】

住民の感じる魅力も加味

 だが、この調査をそこまで気にしないでいいのでは。というのも、この調査自体は「地域ブランド調査2025」の13の調査項目の一つでしかないのだ。他の項目には「認知度」「情報接触度」「地域のイメージ」「観光意欲度」などもあるが「魅力度」が一番分かりやすいからメディアはこの項目ばかり使用する。

 そのうえ、設問と回答・配点も大雑把にも程があると私は感じる。「以下の自治体について、どの程度魅力を感じますか?」という質問に対しての回答と配点は「とても魅力的」(100点)、「やや魅力的」(50点)「どちらでもない」「あまり魅力を感じない」「全く魅力的でない」(0点)として、都道府県ごとに集計するのだ。

 この調査では北関東(群馬・栃木・茨城)と埼玉が下位に入りがちだが、東京・神奈川という日本屈指の観光地に住む関東人は「とても魅力的」「やや魅力的」には入れないだろう。それに、遠方の人からしても東京・神奈川に用はあれど、わざわざこの4県に行くことは考えにくい。千葉は18位と高位だが、それは東京ディズニーリゾートと成田空港の存在が大きな影響を与えていることだろう。

 結局低位の県を嗤うような調査になっているのだが、「いい部屋ネット 街の魅力度ランキング2025」(大東建託)の方が信頼度は高いように私は感じる。同調査の考え方は以下の通りだ。

〈なお、本ランキングが定義する魅力度とは、実際に住んでいる人々が、住んでいる街についてどれくらい満足しているか、また、住んでいない人々に地域の魅力がどの程度伝わっているかを指しています〉

 このように、住民の感じる魅力も加味しているのである。そして、最下位を明確にしないため、40位までしか公表しない配慮をしている。

 大東建託の調査では、ブランド総研の調査で1位の北海道は11位、2位の京都は5位、3位の沖縄は10位。一方、45位の佐賀は40位、46位の茨城は38位、最下位の埼玉県は16位である。結局、ブランド総研の調査がメディアにおける存在感では圧勝しているだけで、「魅力度」なんてものは調査設計次第でいかようにもなるのだ。まぁ、北海道が11位というのは分かる。何しろ住民からすれば屋根の雪おろしや、家の前の雪かきなどは大変だし、冬の光熱費が高くなるのだから。

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