若手芸人が「ゴールデンMC」になれないワケ 霜降り・せいやの抜擢でテレビ業界は変わるのか
求められる「格」
さらに言えば、番組のMCには「格」というものも求められる。長年芸能界で活躍しているベテラン芸人は、仕事を通して多くのタレントと関係性を築いているので、「あの人の番組だったら出ます」というふうに判断されて、ゲストとしてタレントが集まりやすくなる。キャリアの浅い若手芸人の場合、それほど多くのタレントと信頼関係を築けていないため、出演するタレントの幅が限られてしまう。
特に、最近のバラエティでは、普段はそういう番組に出ていない大物俳優などが、番宣のために出演したりすることも多い。そういう場合でも、MCに一定の格が備わっていれば、俳優本人もその事務所も、安心してオファーを受けることができる。芸能界は義理と人情で成り立っている世界であり、長年そこで信頼を築いてきた人が有利になることは間違いない。
そうした状況の中で、せいやのような比較的若い芸人がゴールデン・プライム帯のMCを務めることには、単なるキャリアのステップアップ以上の意味がある。霜降り明星にコンビとしての勢いがあるのはもちろん、彼自身が若手でありながらトークの構成力と仕切りのセンスを持つ稀有な存在だと業界で評価されている証拠でもある。
バラエティ界における世代交代が滞りがちな現状において、せいやの抜擢はその流れを変える可能性を秘めている。テレビの未来が閉塞的になりがちな今こそ、こうした若い才能をゴールデンの中心に据えることに意義があると言えるだろう。
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