スーパードライが手に入らない!? アサヒを襲ったサイバー攻撃で居酒屋に「異変」が

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ひと月で300億円の損害が出る可能性

 では、どうするのか。

「自力でシステムを復元しなければなりませんが、少なくとも億単位の費用が必要になるでしょう。被害の全容の把握から完全復元までに、早くても2~3カ月はかかると思います」(森井氏)

 痛恨の出費は避けられない模様だが、それだけでは済まない。なにしろ商品が普段通りに出荷できない、つまり売れないのだ。この損失はいかばかりだろうか。

 経済評論家の鈴木貴博氏によれば、

「国内のビール市場でキリンと競いながらも、アサヒは王者の立場にあります。昨年度の国内総売り上げは1兆1083億円で、そのうち5928億円がスーパードライやクリアアサヒといったビール類です。これを12カ月で割ると、ひと月あたり約500億円。手作業での出荷作業ということで売り上げが6割減少すると仮定した場合、ひと月で300億円の損害が出る可能性があります」

 ちなみに、同じくランサムウェアの攻撃を受けたKADOKAWAが、特別損失として計上したのは20億円。ビール市場の巨大さには驚嘆する。

 さて、肝心の対策について、先の森井氏が続ける。

「1時間あれば、日本の全会社の中から、脆弱(ぜいじゃく)なシステムを見つけ出せるのがサイバー犯罪組織です。1台のスマホから壊滅的な被害につながる可能性もある。まずは一人一人が、パスワードの使い回しはしない、怪しいメールは開かないといった基本を徹底していくことが大切です」

週刊新潮 2025年10月16日号掲載

ワイド特集「秋うらら」より

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