「おじさんたたき」はもうバラエティーで笑えない? みちょぱにみりちゃむ… ギャルタレントの発言が炎上しやすくなった理由とは

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フジテレビ問題でさらに進む「安全運転化」 ギャルを封じるコンプライアンス時代

 もう一つの要因は、テレビ業界のコンプライアンス意識が高まったことだ。SNSの普及で炎上が身近になり、制作サイドは企画やタレントのコントロールに細心の注意を払うようになった。毒舌も本音も事前にセリフを調整することが増え、誤解を招かないようテロップで補足する。さらにフジテレビの問題は、業界全体にさらなる自省を促したに違いない。

 こうしたオーバーなほどにコンプラを掲げるようになったテレビ業界で、みちょぱやみりちゃむが本来持つ「思ったことを口にする強さ」が、番組内では発揮しにくくなっているのではないだろうか。

 しかも、SNSの切り取り文化が追い打ちをかける。テレビで言った一言が、文脈を無視して拡散される。やんちゃな物言いやタメ口、怖いもの知らずの態度など、「ギャルらしさ」を出せば出すほど攻撃されてしまう。ギャルタレントたちは「言えばたたかれ、黙れば埋もれる」という板挟みになっているのだ。

 現代社会は「やさしさ」の価値を至上にしてしまった。「優しさ」と「易しさ」である。共感、多様性、配慮、分かりやすさ。もちろん大事なことだが、それが行き過ぎると尖った個性や軽口が排除される。ギャル文化はもともと、「口は悪いが根は優しい」という毒のある愛情表現が魅力だったのではなかったか。

 みちょぱの「フワ帰ってこいよ!」も、みりちゃむの「クソ迷惑」も、おそらくは番組全体を盛り上げようとした発言なのだろう。だが今は、そんなノリさえ炎上してしまう。

 みちょぱやみりちゃむの炎上は、彼女たちが時代の境目に立っている証拠でもある。「尖る自由」が消え「空気を読むこと」が過剰に求められるテレビの現状は、ギャルだけでなく社会全体が窮屈になっている象徴なのではないだろうか。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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