大谷翔平が記録を伸ばせた「科学的な理由」 直接アドバイスもした専門家が明かす カギは「バットの長さ」と「ピッチングフォームの変更」

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【前後編の後編/前編からの続き】

“二刀流”を復活させ、9月28日(現地時間)に今シーズンを終えたドジャースの大谷翔平(31)。チームは4年連続の地区優勝を飾り、大谷も最終戦で自己最多となる55号を放った。3年連続4度目となるMVPの期待も高まる中、「驚愕(きょうがく)の1年」を記録とともに振り返る。

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 前編【リハビリを経て球速、回転数がアップ… 大谷翔平の「驚愕の1年」を数字で振り返る 「打球速度もリーグ最高クラス」】では、大谷翔平が今シーズン記録した驚異的な記録の数々について報じた。

 動作分析の専門家で、大谷が日本ハムに入団した2013年のシーズンオフには直接アドバイスしたこともある筑波大学体育系の川村卓教授が言う。

「昨年の活躍に満足せず、さらに高みを目指した大谷選手は今季、バットを1インチ(2.54センチ)長くし、14グラムほど重くしました。これで今までのように強振しなくても、バットが力を加えてくれるので打球が飛ぶようになりました」

 長くて重ければ扱いにくくもなるわけだが、

「どちらかといえば昨季までは、後ろの足に乗せた体重を前に移すという、重心の移動を用いてのけ反るような打ち方をしていました。ですが、その動きが今年は小さくなり、バットの遠心力に任せて打つようなスイングになりました。バットが長くなれば遠心力が大きくなり、おのずとスイングスピードも上がる。今季は投手もこなさねばならないため、“省エネ”といいますか、体への負担を減らすシンプルな打ち方に変わっていったのだと思います」

ピッチングはどう変わった?

 結果、昨季以上の本塁打を生み出したのである。

「ただフルスイングするのではなく技術で打つ。そういう形にますます進化しています。これも、二刀流を長く続けるための戦略ではないでしょうか」(川村氏)

 加えて投球についても、

「ピッチングは体と腕とを縦横にひねりながら行います。サイドスローは横の回転で投げ、オーバースローは縦の動きの比率が大きくなる。大谷選手はその中間のスリークォーターで、特に横に曲がるスイーパーを使うために腕を下ろし、体の横回転を強調する投げ方なのですが、今季は体を縦に使う投法に変わりました」(同)

 とのことで、

「テイクバックの際に右肩を少し落とし、左肩が上がるような形で構えて上から投げる。これで平均球速や回転速度が改善され、打者が伸びを感じるボールとなって三振が多く取れるようになったと思います」(同)

次ページ:「緩急をつけた投球を苦手とする選手が多い」

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