大谷翔平が記録を伸ばせた「科学的な理由」 直接アドバイスもした専門家が明かす カギは「バットの長さ」と「ピッチングフォームの変更」

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「緩急をつけた投球を苦手とする選手が多い」

 そんな中、3年連続4度目のMVPも見えてきたというのはメジャー担当記者である。

「MVPの選考では、選手の打撃・走塁・守備・投球を総合的に評価したWARという指標が用いられます。そこでは二つの米データサイトが算出する『fWAR』『rWAR』という数値が目安となり、大谷選手は前者でリーグ1位、後者で2位につけているのです」

 栄誉を手繰り寄せたとなれば、来季の二刀流にもいっそう磨きがかかるだろう。メジャーの先達に聞くと、

「パワーヒッターが居並ぶメジャーでは、緩急をつけた投球を苦手とする選手が多い傾向にあります」

 そう話すのは、09年からブレーブスでプレーした川上憲伸氏である。

「ストレートの球速がアップしたこともあるのでしょうが、秋以降、まさにその緩急のため、大谷選手はカーブやスローカーブを多用しています。おかげで肩や肘の負担が軽減でき、空振りが奪えてフィニッシュボールにも使えるようになったのは心強いはずです」

サイ・ヤング賞への期待

 また、05年にホワイトソックスでワールドチャンピオンに輝いた井口資仁氏は、

「今季は実戦とリハビリを兼ねていた部分もあり、投手に関しては来季が本格的なスタート。開幕から先発ローテでしっかり回ると思います。大谷選手が取っていない主要タイトルといえばサイ・ヤング賞。それを山本由伸、今永昇太両投手らと競うことになるのではないでしょうか」

 そう期待を寄せながらも、

「年齢とともに体への負担も重くなります。無理をしてでもチームのために尽くしたいと前のめりになる大谷選手が、不調を覚えた時に自制できるのか。そこが、来季の課題だと思います」

 大車輪の活躍とは背中合わせ、絶えず付きまとう難題ではあるのだが……。

 前編【リハビリを経て球速、回転数がアップ… 大谷翔平の「驚愕の1年」を数字で振り返る 「打球速度もリーグ最高クラス」】では、大谷が今シーズン記録した驚異的な記録の数々について報じている。

週刊新潮 2025年10月9日号掲載

特集「自己最多55本塁打で4度目MVPも データが実証する大谷翔平“驚愕の2025年”」より

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