建設費“1400億円”超え「国立劇場」は一体どうなる? 「お披露目は最速でも2033年」
若手が辞めるケースも
過去の入札では、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)を活用してホテルを併設することが必須とされた。今回はその条件が緩和されて、応札者は自由な提案が可能になるという。
「世相を鑑みれば、タワーマンションとの組み合わせがあってもいいのでしょうが、目の前は皇居という立地だけに住宅の併設はNGです。他方で国立劇場側は、ロビーに伝統芸能や大衆芸能の展示室、さらには食事をしながら日本舞踊や落語などを楽しめる、舞台付きレストランを設置する構想を持っています」
主としてインバウンドを念頭に置いているそうだが、
「来場者は日本の伝統文化に触れたいという人が多い。外国人にどれだけ需要があるかは疑問が残ります」
その是非はともあれ、入札から契約、すべての工事が順調に進んでも8年を要する。つまり、最速でも開場は令和15年だ。
邦楽関係者もため息交じり。
「国立劇場の閉場が長引き、伝統芸能の世界では公演数が減っています。加えて、国立劇場の舞台に立つことを目標にしていた若手が辞めるケースも増えており、後継者不足が加速する懸念も募ります。各界の師匠たちからは“遅過ぎる”“一日でも急いでほしい”との悲痛な声が上がっていますよ」
国が誇る文化芸術にも国民不在の政治のツケが……。
[2/2ページ]


