建設費“1400億円”超え「国立劇場」は一体どうなる? 「お披露目は最速でも2033年」

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 一昨年秋に老朽化を理由に閉場して以来、復活のメドすら立たない国立劇場の再建計画が動き出した。

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お披露目は令和15年

「過去に2度の入札が行われましたが、いずれも不成立でした。日本のナショナルシアター問題は、2年近く放置されています」

 と言うのは、文化庁を通じて、国立劇場を所管する文部科学省の担当記者。

「先月24日、文化庁が国立劇場の再開場に向けた新たなスケジュールを公開しました。令和7年度中に入札を公告し、9年度に契約を締結するというもので、解体・建設工事を経て令和15年度に新劇場をお披露目するとか。再開場は令和11年度の予定でしたから、4年も遅れる計算です」

 国立劇場が開場したのは、日本が高度経済成長期にあった昭和41年の秋。皇居に面し、隣は最高裁判所という超一等地の千代田区隼町に建設された。歌舞伎をはじめ、文楽や日本舞踊、雅楽や能楽といった伝統芸能の公演に利用され、昭和54年には隣接する国立演芸場も完成し、落語の興行にも利用されてきた。

「当初、見込まれた建設費はおよそ800億円でしたが、折からの資材や人件費の高騰によって、建設費が1200億円を超える可能性が指摘されるようになりました。過去の入札でも、その影響で事業者が尻込みして不調に終わっていたのです」

6万5000人分もの署名が

 この間、日本の伝統芸能を担う人々は表現の場を失い、都内を転々とするハメに。2度も年をまたぎながら何の対策も打てない政府には、著名な歌舞伎俳優や舞踊家が、記者会見で「情けない」と怒りをあらわにしたことも。

「今年5月にも、平成17年に人間国宝に認定された舞踊家の井上八千代氏(69)をはじめ、各団体の代表が約6万5000人分もの署名を携えて首相官邸に出向き、石破茂首相に“一年でも早く開場してほしい”と陳情を行っています」

 昨年12月、石破政権は令和6年度補正予算で、新劇場建設費として200億円を追加計上していた。

「それでも資材の高騰はやまず、最新の試算では建設費が1400億円以上に膨らんでいます。200億円では焼け石に水ですね」

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