26年間「下駄の雪」の公明党が今更「連立離脱」の“ご都合主義” 内部からは「そろそろ解党すべき」との指摘も
踏まれても蹴られてもついてゆきます下駄の雪――。1999年に自民党と連立を組んで以来、政権に食らいついて離れない公明党を揶揄して使われる都々逸だ。そんな下駄の雪が、四半世紀が過ぎた今になって「政策、理念の一致があって初めて連立政権が成立する」などと言い出し、連立を解消した。目的はどこにあるのか。
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従来、自民党に新執行部が発足するや否や、公明党は直ちに連立継続の合意文書を交わしてきた。ところが、新総裁に選ばれた高市早苗氏と10日に会談した公明党の斉藤鉄夫代表は、連立離脱を表明した。政治部記者は言う。
「斉藤代表がこれまで記者団に語っていた自民党への懸念は、派閥の裏金問題のけじめ、企業・団体献金の規制の明確化、靖国神社の参拝、外国人政策でした。これらの懸念が解消されなければ連立は組めないと。そもそも斉藤代表は総裁選の前から『保守中道路線の私たちの理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにいかない』とも語っていました」
人当たりがいいことで知られる斉藤代表にしては強気なセリフだ。そもそも党員による選挙で選ばれた自民党の新総裁に対して、党の規約で規定されている代表選すら行われたことがない公明党が注文をつけるなんて失礼ではないか。公明党関係者が言う。
「自身の選挙区では『村議会議員だった親父はバリバリの自民党員。私の血の95%が自民党です!』なんて言っている斉藤代表ですからね。そんな彼が自民党に対して強い態度に出たのは、支持母体である創価学会の強い意向があったからでしょう。学会にとって公明党の代表など渉外部長のようなものですから。公明党の本当のトップは、存命中は池田大作名誉会長でした。山口那津男元代表までは、池田先生の鶴の一声で決まったようなものですからね。今回の斉藤代表の発言は『いつまでも言いなりになっていないで反論してこい』と学会からハッパをかけられたからでしょう。公明党は創価学会のためにあると言っても過言ではないのですから」
維新との連立に牽制
平和の党を自称する公明党だが、中道どころか右派とも言われた安倍晋三政権と連立を組み、集団的自衛権の行使を容認した過去もある。それなのに、安倍路線の継承者を自認する高市・自民とは組めないというのは矛盾がある。
「集団的自衛権の行使容認は信者からの反発も大きかった。国会前で行われた反対デモに参加した学会員もいたほどです。また、自分たちが選挙活動をして当選させた公明党の国会議員に対する不満も溜まっています。ちなみに、斉藤代表が総裁選前にした発言は、自民党と日本維新の会との連立を牽制するためのものでした。昨年の衆院選とこの夏の参院選で自公ともに惨敗し、両党だけでは過半数に達しなくなった。そのため自民は別の党との連立が必要になるわけですが、維新とだけは組んでくれるなという意味だったんです。もちろん、第3の党が入る前に存在感を示しておく目的もあったのでしょう」(公明党関係者)
実にご都合主義的だが、公明党と維新の会には因縁があるという。
「遡れば、大阪維新の会が掲げた大阪都構想が住民投票で否決されるまでは、その協力を得るために公明党の候補が出馬する大阪と兵庫の衆院6選挙区に、維新は候補の擁立を見送ってきました。しかし、大阪都構想が否決されると、共同代表の吉村洋文・大阪府知事は『公明党をぶっ潰す』と宣戦布告。全面戦争となった昨年の衆院選では、学会内で“常勝関西”といわれた大阪の4選挙区で全敗するという信じられない事態になったのです」(公明党関係者)
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