「皇室制度に地殻変動が…」…「彬子女王」の三笠宮家当主就任と「信子さま」の新宮家創設が意味するものは何か

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想定外の展開

 彬子さまについても、未婚のまま独立するのは1988年に宮家(新桂宮家)の新設が認められた桂宮さま以来で、これも実に37年ぶり。母子ともに異色の女性当主となられた。

 信子さまと彬子さまを巡っては、旧寛仁親王邸や三笠宮邸がある東京都港区の赤坂御用地ではなく、同千代田区の宮内庁分庁舎に住む信子さまと、寛仁さまの葬儀で喪主を務めた彬子さまの間の溝が指摘されてきた。三笠宮家内で真摯に話し合いが行われた結果、得られた結論こそが、女性皇族2人がそれぞれ独立するという道だった。

 上述した淑子内親王は、江戸時代に事実上最後の天皇となった孝明天皇の姉で、NHKの大河ドラマ「篤姫」で俳優の堀北真希さん、TBSドラマ「JIN-仁-」で同・黒川智花さんが演じた皇女和宮の姉でもある。桂宮家を継いだ別の弟が亡くなり、当主不在となったことから1863年に第12代当主となった。

 天皇にお世継ぎがない場合に次の天皇を立てるために存在し、「世襲親王家」や「四親王家」と呼ばれた4つの宮家の継承者で唯一の女性皇族でもある。実は彬子さまの事例は、女性皇族のモデルケースとして、これまで想定されてこなかったもの。なぜなら未婚のままで独立した生計を立てる女性皇族が、結婚した場合にどういう扱いとなるのか、何も明文化されていないからだ。宮内庁元幹部は言う。

「実際には養われていないものの、形式上は一般の『扶養家族』のような立場にあるお嬢さまの皇族は『嫁に行く』とか『嫁(とつ)ぐ』といった表現に当てはまるように、従来通り皇籍離脱をすれば良いわけです。しかし家長や家主(やぬし)と呼ばれる立場になった彬子さまは、夫を宮家に迎え入れるのか。それとも当主でありながら宮家を出ることになるのか。制度の課題を検討せずに見切り発車してしまった感が否めません」

 また、宮内庁OBはこう語る。

「政権内で新たな課題の指摘や問題提起がないのは、皇室制度への無理解が根底にあります。選挙で保守層の支持をつなぎ止めたいだけの自民党保守派の国会議員の方々は、彬子さまが結婚後も皇室に残るのかどうかには関心がないのです。要するに、愛子天皇の誕生を阻止できればいいのでしょう。そうなれば選挙に勝てるのですから」

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