米国30歳以下の2割が「政治的暴力は正当化できる」 1年で資産が“2倍増”の「トランプ・ファミリー」にZ世代が怒りを向ける日

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政府閉鎖を“利用”するトランプ政権

 連邦予算の失効により、米政府機関の一部が10月1日から閉鎖された。政府閉鎖は第1次トランプ政権が「国境の壁」の建設を巡って混乱した2018年12月~2019年1月以来のことだ。

 今回の争点は医療保険補助の延長だ。来年の中間選挙を見据え、民主党が医療保険を守る姿勢を堅持しているのに対し、共和党は「医療保険補助は不法移民に資するのみだ」と反論している。世論の過半は民主党が主張する医療保険補助の延長に賛成だが、共和党がこれにひるむ気配はほとんどない。

 前回の政府閉鎖は35日間に及んだが、今回はそれ以上になる可能性がある。予算成立に尽力すべきトランプ政権が、政府機関の閉鎖を奇貨として、自身の政策を推し進めようとしているからだ。

 トランプ大統領は1日、民主党地盤の州向けの総額260億ドル(約3兆8000億円)の予算を凍結し、翌2日には野党・民主党寄りとみなす政府機関のうち、どこの支出を削減するかを協議していることを明らかにした。トランプ政権はさらに連邦政府職員の大量解雇も視野に入れており、専門家は「前代未聞の動きだ」と驚いている。

米軍はトランプ氏個人に忠誠を誓うのか

 トランプ氏の独断専行ぶりはとどまるところを知らない。

 筆者が注目したのは、トランプ氏が9月30日、世界各地から国防総省に緊急招集された800人以上の米軍幹部の前で、気に入らない幹部の解雇をちらつかせる異例とも言える演説を行ったことだ。

 米国を始め先進国では、正規軍が忠誠を誓うべき対象は国家そのものだ。これに対し、私人または特定の政党などに忠誠を誓う軍事組織は私兵とみなされる。

 中国共産党に忠誠を誓う人民解放軍は私兵の典型例だが、米軍がトランプ氏個人に忠誠を誓うことになれば、世界最強の私兵組織が誕生することになるだろう。

 トランプ氏は国防総省の会議の場で、米国は内側からの侵略と戦っていると語ったことも気になるところだ。米国ではこのところ、不法移民対策のために州兵を動員するケースが相次いでいるが、トランプ氏は連邦軍まで投入しようと考えているのかもしれない。

 トランプ氏の言動に民主党側は危機感を露わにしている。イリノイ州のブッカー知事は10月1日、「この男は本当に何かがおかしい。(大統領が職務遂行不能になった場合の手続きを定める)米国憲法修正第25条を発動すべきだ」とトランプ氏の罷免を訴えた。

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