スーパードライがコンビニから消える? アサヒを襲ったサイバー攻撃による被害額は…「ひと月で300億円の損害の可能性」

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身代金の額は「大手の場合は数億~数十億円」

 9月29日、飲料業界大手「アサヒグループホールディングス」がランサムウェア攻撃を受け、国内での受注・出荷に大ダメージを与えられている。目下、看板商品も品薄になりつつあるのだ。

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 システム障害が発生したのは9月29日。何が起こったのかというと、

「通常、例えばお客様が“スーパードライを5ケース欲しい”という場合、システム上でオーダーしていただきます。それが当社の受注センターに届き、出荷するというのが基本的な流れなのですが、そのシステム自体が停止している状況です」(アサヒグループの担当者)

 そもそも、ランサムウェアとは何なのか。

「“ランサム”とは身代金のこと。相手のシステムを破壊して暗号化し、お金を払えばそれを元に戻すための鍵を渡す、という手口がランサムウェアです」

 そう解説するのは、ネットワークセキュリティーに詳しい神戸大学の森井昌克名誉教授である。

「攻撃を受けると、ディスプレイに“犯行声明”が表示されます。身代金の額は会社の規模によって異なりますが、大手の場合は数億~数十億円といったところでしょう。身代金のやりとりは仮想通貨で行われます。ただ、日本の大企業は基本的に身代金は払わない方向で動きます。金を払っても鍵が手に入らない場合がありますし、犯罪組織に金を払うことが企業イメージを損なうからです」(同)

「ひと月で300億円の損害の可能性」

 では、どうするのか。

「自力でシステムを復元しなければなりませんが、少なくとも億単位の費用が必要になるでしょう。被害の全容の把握から完全復元までに、早くても2~3カ月はかかると思います」(森井氏)

 痛恨の出費は避けられない模様だが、それだけでは済まない。なにしろ商品が普段通りに出荷できない、つまり売れないのだ。この損失はいかばかりだろうか。

 経済評論家の鈴木貴博氏によれば、

「国内のビール市場でキリンと競いながらも、アサヒは王者の立場にあります。昨年度の国内総売り上げは1兆1083億円で、そのうち5928億円がスーパードライやクリアアサヒといったビール類です。これを12カ月で割ると、ひと月あたり約500億円。手作業での出荷作業ということで売り上げが6割減少すると仮定した場合、ひと月で300億円の損害が出る可能性があります」

 さらに、コンビニ大手への入荷にも影響が出ているというから、消費者への影響も計り知れないのだ。10月9日発売の「週刊新潮」では、アサヒビールの枯渇によって飲食業界で起きている“異変”について報じる。

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