劇団ひとりが嫉妬する芸人・バカリズム 仕事量は「4トントラック」と「軽自動車」ほどの差

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ライバル心

 9月28日放送の「THE GREATEST TALKMAN」(日本テレビ系)で「嫉妬する芸能人は誰か」と尋ねられた劇団ひとりは、真っ先にバカリズムの名前を挙げた。同じぐらいのキャリアを持つピン芸人同士であり、お笑い以外の分野で創作活動をしているという共通点もある。しかし、劇団ひとりに言わせると、バカリズムは「仕事の積載量」が違う。劇団ひとりが軽自動車ぐらいの積載量で何とか仕事をこなしているのに対して、バカリズムは4トントラック並みの積載量でどんどんボリュームのある仕事をこなしていく。芸人・タレントとしての活動を続けながら連続ドラマの脚本を書くというのは、常識では考えられないことなのだという。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 番組内では、劇団ひとりがどれほどバカリズムに嫉妬心を抱いているかを面白おかしく語っていた。この発言は一見すると笑いを取るための冗談交じりの発言のようにも聞こえるが、実際には長年にわたってお互いに独自の道を歩んできた2人の「クリエイター芸人」ならではのライバル心のような感情が透けて見える。単なる芸人同士の張り合いではなく、自分と同じ領域で成果を上げている相手に対する真剣なリスペクトと嫉妬が混じり合った言葉だったと言える。

 劇団ひとりは、1990年代にスープレックスというお笑いコンビの一員として活動を始め、2000年にはコンビを解散してピン芸人に転身した。どこか哀愁のある人物を演じる1人コントを得意としており、演技派の芸人として注目を集めた。「電車男」「嫌われ松子の一生」など数々のドラマや映画に出演し、演技力の高さで評価を得た。

 2006年には初めての小説『陰日向に咲く』(幻冬舎)を出版。ベストセラーとなったこの作品は映画化され、大きな成功を収めた。それ以降も小説を書き続け、映画「青天の霹靂」では自ら原作・脚本・監督を務め、芸人の枠を超えた総合的なクリエイターとしての立場を確立した。2021年に配信開始された「浅草キッド」(Netflix)でも監督・脚本を手がけて、注目を集めた。笑いだけでなく、人間の哀愁や不条理を物語として描き出す力は、芸人としての観察眼が小説や映画に昇華した成果だと言える。

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