「娘さんが素行不良で…」 娘の遺体を20年間冷凍保存した母親(75)が信仰に求めた救い
信仰にすがった母
万希子さんの同級生の母親が明かす。
「ご主人は公務員だったと思います。恵子さんは、人の悪口を言わないし、世話焼きで本当にいい人でした。ただ、マキちゃんはヤンチャで、小学校高学年のとき、先生の車に生卵を投げたことがあったんです。そのため恵子さんは“本当に困っているのよ……”と悩んでいました。マキちゃんの二つ上のお兄さんは、明朗快活で真面目な子だったのですが」
中学校に入り、万希子さんの素行不良は加速していく。中学時代の恩師が語る。
「万希子は思いやりのある子で、友だちは多かった。しかし、素行は悪く、好ましくない交友関係があったのも事実です。お母さんは彼女と真剣に向き合っていましたが、反発されてかえって悪い方向に働いたこともありました。お父さんの記憶はまったくありません。仕事であまり家にいなかったのでしょう」
子育てに悩む母親は、ある宗教を信仰する。中学のPTAで森容疑者と役員を務めた女性が言う。
「恵子さんはエホバの証人の信者でした。でも、勧誘されたことはありません。聖書を読み聞かせられ、“感想を聞かせて”と言われたぐらいです。逆に私の自宅を訪れて、しつこく勧誘する信者に対して“私の名前を出してもいいから”と、断る口実をくれました」
“娘は今、東京にいるのよ”
宗教法人エホバの証人は、幸せな家庭の築き方を説く。一人苦悩を抱えた母は、信仰に救いを求めたようだ。しかし、熱心に教義を教え諭す母と反抗期の娘が、相容れないことは想像に難くない。中学を卒業後、万希子さんは次第に家族と距離を置き、悪友との絆を強めていったのかもしれない。
森容疑者は以前、30歳前後で亡くなったとされる万希子さんについて、こう語っていたという。
「20年ほど前、たまたま道で恵子さんにお会いして雑談したんです。そのとき“娘は今、東京にいるのよ”と話していました」(森容疑者の知人女性)
娘の遺体と共に暮らしていた森容疑者は、10年前から月1回、通学路の見守り活動に参加していた。下校する無邪気な子供の姿を、どんな思いで見つめていたのか。
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