赤丸急上昇! 密かにスカウト陣の評価を上げている“注目株3人の実名” 「万波中正のような選手になるかも…」

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遅咲きの左腕

 続いて、社会人野球に話を移そう。エイジェックの左腕である谷内隆悟が、今年に入ってスカウト陣の評価を上げている。京都府立鳥羽高時代は無名の選手だった谷内は、同志社大に進学したものの、関西学生野球のリーグ戦では、わずか2試合の登板にとどまった。しかしながら、素材の良さが評価され、エイジェックに入社した。

 昨年までは怪我の影響などで目立った実績は残せなかった。3年目の今シーズンは、春先から好投を続けて、スカウト陣からは、谷内の名前が頻繁に聞かれるようになったのだ。

 関東地区担当のスカウトは谷内について、以下のように分析している。

「フォームとボールの質が良いですね。目いっぱい投げているように見えなくても、打者の手元に勢いのあるボールが来る。ホップするようなストレートが多いようです。調子の波は少しありますが、調子の良い時のボールの勢いは、左腕のドラフト候補の中でも1、2を争うでしょう。チームのスタッフに話を聞くと、怪我もあったものの、状態が良くなってきたのは、昨年の秋頃だそうです。今年で25歳になりましたが、これから伸びることも期待できますね」

 7月に行われた都市対抗予選には、12球団から約30人のスカウトが集結し、谷内の状態をチェックしていた。チームは予選で敗退したが、谷内はSUBARUの補強選手として本戦に出場した。リリーフで1回を投げ無失点、2奪三振の好投を見せた。“遅咲きの左腕”として、今後の活躍が楽しみだ。

振り出しがスムーズ

 近年、多くのドラフト指名選手を輩出している独立リーグはどうだろうか。注目株は、埼玉武蔵ヒートベアーズの高橋空大。高卒2年目の二塁手兼遊撃手だ。

 関東学園大付時代は、群馬県内で名の知られた選手だったが、ドラフト指名はなく、BCリーグの埼玉に入団した。

 1年目の昨季は、49試合に出場し打率.276という成績を残した。さらに、2年目の今季は4月下旬に4試合連続マルチヒットを記録するなど、ヒットを量産した。56試合に出場して、打率.330と大きく成長したところを見せた。

 スカウト陣の評価も高い。

「バットの振り出しが本当にスムーズです。タイミングの取り方も上手いですし、力に頼らず、打撃技術を上手く使い、安打を重ねている選手だと思います。昨年より体が大きくなり、長打力が備わってきました。守備や走塁でももう少し目立つところが欲しいところですが、二遊間の守備は無難にこなしています。高卒2年目で、巧みなバッティングができる選手は貴重だと思いますね」(BCリーグ担当のスカウト)

 高橋は、9月16日に行われたBCリーグの選抜チームと巨人三軍の交流戦に出場した。第1打席はライト前ヒット、第3打席では左投手から打った瞬間にそれとわかるライトへのスリーランを放ち、スカウト陣に対してアピールに成功した。

 エドポロ・ケイン、谷内隆悟、高橋空大……彼らがどの球団に何位で指名されるのか。ドラフト会議当日はぜひ注目して頂きたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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