コメ問題を足掛かりに総裁選に挑む「小泉進次郎農水大臣」の通信簿…イメージ先行で実績に乏しい“小泉農政”の真相とは
農水省で増えた「クソどうでもいい仕事」
「ブルシット・ジョブ」という概念がある。これは「クソどうでもいい仕事」と訳される。その提唱者である文化人類学者のデヴィッド・グレーバーは、次のように定義した。
「被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態」
備蓄米の放出に関して農水省がやったことの中には、少なからぬ「クソどうでもいい仕事」が含まれていた。
今、省内では乾田直播(かんでんちょくは)という技術が空前のブームだ。手間のかかる田植えをせず、種籾(もみ)を田んぼに直接まく。その流行も、小泉大臣の“鶴の一声”に始まっている。乾田直播がコメづくりの効率化につながるのは、間違いない。しかし、これは国内で導入されて数十年が経過した昔からある技術で、雑草が繁茂しやすく収量が下がりやすい欠点を持つ。救世主のように扱うと、危うい。
小泉氏は、職員を振り回せるほどリーダーシップがあるとも言える。それだけに、大臣職から降りた後に、コメ業界や省内の混乱をどう収束させるのか。総裁選を控えてそんなことを考える余裕はないだろうが、祭りの後に向き合ってほしいものだ。









