欧州は移民問題で「地獄に落ちる」と言ったトランプ氏…むしろ米国の状況が深刻化 内戦勃発の可能性は高まる一方

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「棍棒外交」再現か…国際社会からの反発必至

 ベネズエラと並んで「麻薬対策失敗国」に指定されたコロンビアも、米軍による攻撃が始まるのは時間の問題かもしれない。

 思い起こせば1990年、米軍は中米パナマの最高実力者ノリエガ将軍を麻薬密輸容疑で拘束し、現地から米国に身柄を移送した。米国は35年ぶりに、ベネズエラとコロンビアに対して同様の強硬手段に打って出るのだろうか。

 20世紀初頭、トランプ氏が尊敬するとされるセオドア・ルーズベルト大統領は、モンロー主義(米国が西半球で支配権を獲得しようとする外交理念)を拡大し、中南米諸国への武力侵攻を正当化する「棍棒外交」を展開した。だが、これを21世紀に再現しようとすれば、国際社会から反発を受けるのは必至だ。

 このように、米国の内外の状況は一触即発だと言っても過言でない。悩める超大国の今後の動向について最大の関心を持って注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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