連覇に挑むドジャース“最大の弱点”はロバーツ監督の采配力 「“レジェンド”カーショーを登録外」「特定の選手に固執する」
打率1割台コンフォートを我慢の起用
また、ロバーツ監督は特定の選手に固執する采配も目立った。例えば、安定感を欠くタナー・スコットやブレーク・トライネンを守護神やセットアッパーとしてシーズン終盤に使い続け、先発陣が奮闘するも継投策の失敗で落とした試合は数えきれない。
それ以上に批判されたのが、昨季オフにFAで獲得したマイケル・コンフォート外野手の起用だ。開幕から打率1割台の低空飛行が続き、いつDFA(事実上の戦力外)になってもおかしくない状況のコンフォートだったが、ロバーツ監督は我慢に我慢を重ねて起用しつづけた。
結局、コンフォートは138試合に出場し、打率.199、12本塁打、36打点という体たらくでシーズンを終了。1年契約とはいえ、1700万ドル(獲得時のレートで約24億円)の目玉補強の一つは完全に失敗に終わったといえるだろう。コンフォートとの契約条項の中身は定かではないが、よほど選手側に有利な内容だったのかと勘ぐれるほどだ。ロバーツ監督の柔軟性に欠ける選手起用が例年以上に目立った印象だ。
そんなロバーツ監督の不可解な選手起用もあってか、ドジャースは絶対的な戦力を有しながら、シーズンを通して接戦での勝負弱さが目立った。投打がかみあった時は打ち上げ花火の如く、派手に勝利を収めるが、試合終盤までもつれたときは競り負ける―――。1点差で決着した試合で25勝24敗と、1つしか貯金をつくれなかったのが何よりの証拠だろう。
カーショーを登録外にした真意は……
そんな中で迎えるポストシーズンは落とせない試合が続き、どのチームも総力戦で臨むことになる。レギュラーシーズンに比べて接戦が増えるのは必然だろう。
ドジャースがレッズとのWCSを迎えるにあたって、特に現地アメリカで、ロバーツ監督が下したある決断に批判の声が高まっている。
それが今季限りでの引退を表明しているクレイトン・カーショーをWCSで登録外にしたことだ。
「なぜロバーツはいつもカーショーを軽視するんだ? 殿堂入りの選手をポストシーズンのロースターに入れろ」といった類の意見がSNSで多数見られた。
ワールドシリーズまでのポストシーズン全体を俯瞰して見れば、次の地区シリーズにカーショーを温存する戦略は的を射ているともいえる。WCSはブレーク・スネル、山本由伸、大谷翔平の3人が先発し、ローテ投手のタイラー・グラスノーとエメ・シーハンの2人がブルペンで待機すると予想されている。
確かにレギュラーシーズン最終戦で94球を投じたカーショーにこの最大3試合で出る幕はないが、レッズに負けてしまえば元も子もない。カーショーは場の空気を一変できる貴重な投手の一人だけに、最終戦は2~3イニングにとどめ、WCSには“切り札”として登録はしておくべきだったのではないか。
果たしてロバーツ監督の“賭け”は実を結ぶのか。連覇への旅路は本拠ドジャースタジアムから始まる。





