「アメリカへの忖度」「不公平な判定」 世界陸上に残る“モヤモヤ”

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世界記録ボーナスは1500万円

 東京世界陸上が9日間の幕を閉じた。

 34年前の東京大会では、カール・ルイスらの活躍で三つの世界記録が生まれたが、今回は男子棒高跳びの1種目のみだった。

 その偉業を現地・国立競技場で観戦した人によると、

「夜10時半を過ぎて、残るはスウェーデンのアルマンド・デュプランティス選手(25)の世界記録挑戦のみ。1回目、2回目を失敗してしまい、終電時刻が迫る中、最後の試技となる3回目でついに成功。その瞬間を見届けて、私たちも駅に猛ダッシュ。よもや観客まで走らされるとは……」

 それはともかく、記録は6メートル30センチ。自身が持つ記録を1センチ塗り替えたのだが、実は彼、昨季は3度、今季も既に4度記録を更新している。いずれも1センチずつ、である。本当は6メートル30センチなんてお茶の子さいさいで、本気を出せば10センチくらい高く飛べるのではないか、と勘繰ってしまうのだが、

「大会の多くで、新記録を達成するとボーナスが支給されるんです」

 と、スポーツ紙記者が明かす。

「かつてこの種目で“鳥人”と称されたセルゲイ・ブブカは、世界記録を35回も更新しています。短距離走や投擲(とうてき)種目、走り幅跳びなどではできない芸当ですね」

 今回、デュプランティスは、1位の賞金約1000万円に世界記録ボーナス約1500万円を加えた約2500万円を手にした。

 少しずつ記録を刻めば、そのたび懐が潤うわけだ。

異例の“忖度”

 一方で、どうにも消えないモヤモヤもある。例えば、

「男子4×400メートルリレーで予選落ちしたアメリカが“妨害された”と抗議して救済されました。この異例の裁定に対し、世界中から“大国アメリカへの忖度(そんたく)だ”と批判が噴出しました」

 日本選手にまつわるモヤモヤもあった。

「男子3000メートル障害決勝で、三浦龍司(23)がゴール直前で3位につけながらも、後続のケニアの選手に押されて失速し8位に終わった。押した選手は銅メダルを獲得しています」

 3度目の優勝が期待された男子20キロ競歩の山西利和(29)は、両足が地面から離れる“歩型違反”で28位に沈んだが、ネットでは、両足が浮いているメダリストの画像が拡散し、“不公平だ”と不満の声が溢れた。

「靴底にセンサーを付ければいいのに。ビデオ判定が普及している球技などに比べ、シンプルにタイムや順位を競う陸上競技は、本来はもめる要素が少ないはずなんですが……」

週刊新潮 2025年10月2日号掲載

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