暗殺されたチャーリー・カーク氏と参政党・神谷代表には多くの共通点が 「過激な陰謀論者ではないが、支持者には陰謀史観に染まり切っている者が」
“子どもをつくり、移民政策を拒否する”
イリノイ州シカゴ郊外の中流家庭で生まれ育ったカーク氏は、18歳の時に草の根保守団体「ターニング・ポイントUSA」を設立した。
国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、
「日本でいえば短大に相当するコミュニティーカレッジを中退し、保守組織を立ち上げた高卒のノンエリートです。大学のキャンパスに出向いて討論会を開き、質問してきた学生を次々と論破していく活動が話題を呼びました。冗舌で弁舌巧みな彼のディベートは、SNSなどでアメリカ中に拡散され、支持を広げていきました」
ターニング・ポイントUSAは、いまや全米3500以上の大学や高校にメンバーを擁する組織へと成長。カーク氏のTikTokフォロワー数は700万人、Xでも500万人を超え、自身がホストを務めるポッドキャスト(ネット配信形式の音声コンテンツ)は毎週数百万人が聴取していたとされる。
「キリスト教福音派のプロテスタントである彼は、LGBTQなどマイノリティーの権利擁護や人工妊娠中絶、銃規制などに反対してきました。中でもアメリカの優位性を誇示する“自国第一主義”の姿勢は神谷氏と共通するものです」(同)
先のイベントに参加した党員が続ける。
「トークセッションで、神谷代表が“反グローバリズム闘争で大切なことは?”と聞くと、カーク氏は“子どもをつくること。移民政策を拒否することだ”と明確に答えました。“仲間内で子どもの数を競っているよ”との冗談を交えた後で、“左翼は少子化を放置し、人手不足による移民受け入れを促し、国を崩壊させようとしている”と説くと、代表も真剣な面持ちで耳を傾けていました」
左翼からの妨害への対処法は「ない」
神谷氏は「若者の政治参加を促す」有効な手立てについても質問したという。
「それに対し、カーク氏は(1)国とつながっているとの実感を持ってもらう(2)ニヒリズムからの脱却(3)神の存在を意識する、の3点を挙げました。最後を除けば、神谷氏だけでなく、聴衆の多くもうなずいた部分です。若者が国への帰属意識を持ち、“選挙に行っても何も変わらない”との虚無主義から脱すれば、政治は変わる。参政党のさらなる飛躍のチャンスが生まれることにもつながります」(前出の党員)
さらに神谷氏が「左翼からの妨害への対処法」を尋ねると、
「ハッキリと“ない”と答えたのには驚きました。カーク氏自身も“試行錯誤中だ”と明かしましたが、いま思えば、不穏さをたたえた重い言葉だったと感じます」(同)
事件の翌日、カーク氏殺害容疑で逮捕されたのは、ユタ州の工科大に通うタイラー・ロビンソン容疑者(22)だった。
トランスジェンダー女性と交際していた容疑者は犯行前、「奴は憎しみを広めている」とカーク氏の言動に嫌悪感を示していたと、家族や知人が米メディアに証言している。
「ロビンソン容疑者が残した薬莢(やっきょう)には反ファシズム運動に好意的だと解釈され得る文字が刻まれていました。奨学金を獲得してユタ州立大学に進むも1年で退学し、現在は電気技師見習い課程の3回生でした。ビデオゲームやネット空間にハマっていたといい、アメリカで急速に進む“分断”を象徴する事件と捉えられています」(前出の山田氏)
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