他国と堂々渡り合える!? 中川淳一郎が「“小泉進次郎総理”がいいんじゃないか」と思うようになった理由

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 いよいよ話題は次の首相。案外、小泉進次郎氏がいいんじゃないかと思うようになってしまいました。次のような「進次郎構文」が時にバカにはされますが。

「今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけないと思っている」

 でも不思議と、決定的な失言は過去にありません。

 首相の周りにはどのみち政策ブレーンがおり、手練れの官僚もワンサといます。

 実際のところ「名宰相」なる評価は雰囲気やイメージで決まる面もあるかと。要はパフォーマンスと外見が重要で、信念や見識に多少欠けても全体最適さえ考えてくれればいいような。

 鳩山由紀夫氏のように、とにかく中国寄りの思想を持つ人物、高市早苗氏のように国会答弁で「信用できないなら、もう質問しないでほしい」と対応拒否にも似た態度を見せてキレる人物は首相向きじゃない。

 鳩山氏は、個人的にその思想を貫き、高市氏は大臣レベルで同様の態度を維持すればいい。でも首相となると……。仏マクロン大統領や米オバマ元大統領のように、就任時40代のトップが日本でも出てきてほしい。

 小泉氏の場合、国際会議で「映(ば)える」。これ重要です。サミットで他国の首脳が会議前に談笑する中、石破氏は自席でスマホをいじっている。あの「ぼっち」姿がいたたまれなかった。その点、小泉氏は各国首脳に「やあ、元気だった?」なんてやってくれそうな気がします。1980年代以降の長期政権は中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三各氏の政権で、共通するのは外交の舞台で楽しそうにしているところ。その系譜を継ぐのが進次郎氏なのでは。

 2019年、進次郎氏は環境相として国連気候行動サミットに参加、隣席の女性と楽しそうにしていました。ただ、前日の記者とのやりとりで「気候変動のような問題への取り組みはセクシーでなければならない」と英語で珍発言に及んで大炎上します。

 ロイター通信は〈気候変動との闘いを『セクシー』に、と日本の新しい環境相が発言〉という見出しで報じました。報じるに足る面白い発言と判断したのでしょう。記事では、カリスマ的首相だった純一郎氏の息子であることや、安倍氏の次の総理候補であることも紹介しています。しかし、会議当日のスピーチを引用した上で書かれた評価は若干、気になりました。

〈「1997年の京都議定書採択以降、われわれは強固な対応をせず、力強いリーダーシップを発揮することはなかった。だが、今日からわれわれはもっといろいろやっていきたい」と、具体的な内容を示すことなく語った〉

 小泉氏が中身のあることを言っていないと突っ込んでいるわけですが、首相になるような人物は父の純一郎氏のように「自民党をブッ壊す!」などと威勢のいいことを言っておけばいい面もある。その感を強くしたのは、石破氏が評論家的にまわりくどく小難しく喋るだけで、なんら指導力を発揮しなかったせいです。

 首相の外交でいえば、進次郎氏の妻が滝川クリステルさんというのも大きい。語学が得意ですし、人前で喋るのも慣れている。

 勢い、押し出し、態度、雰囲気。どこかの大国の指導者も、これ(だけ)で他国と堂々渡り合っています。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』など。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2025年9月25日号掲載

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