“待望論”に愛子さまご自身の本心は…昭和天皇第1子「成子内親王」と重なる前向きで質素な生き方

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重なるイメージ

 お爺さまやお父さまから受け継がれた被災地に寄せられる慈愛のお気持ちと、皇族として特別な環境で暮らしてきたにもかかわらずしっかりと身につけられた庶民目線。さらに幼い子供たちを愛でる心。そして前向きなご性格。宮内庁書陵部OBは「これらはいずれも成子内親王とイメージが重なります」と指摘する。

 故市川房枝元参院議員らの奮闘で終戦直後に女性の参政権が認められてからおよそ80年。だが、現実には女性の社会進出への道のりは険しく、ようやく1986(昭和61)年に男女雇用機会均等法が施行。キャリアウーマンの象徴的存在の一人が、ご結婚前の小和田雅子さん(現在の皇后陛下)だった。

 夫婦の共働きも80年代から徐々に増え始めたが、それでも内助の功だけを美徳とする考えは根強く、1997(平成9)年からは共働き世帯が専業主婦世帯の数を上回っているものの、職場でのセクハラや家庭でのDVなど女性を取り巻く環境はまだまだ改善すべきことが山積しているというのが、日本の現実だろう。

 宮内庁関係者はこう語る。

「職員の中には『伝統は重んじるべき』との保守的な考えの人もそれなりにいますが、時代は確実に変わってきています。今年は通常国会で選択的夫婦別姓が認められるのではないかと期待していた女性職員も少なくない印象でしたが、同様に女性皇族に皇室に残るかどうかの選択権が与えられるかもしれないという期待感を抱く向きもあったように感じます」

 毎日新聞が5月に行った世論調査で女性天皇賛成が70%に上った事実も、女性の社会的地位確立と愛子天皇実現を重ね合わせている人が少なくないことを物語っているのではなかろうか。

 約35年間、宮内庁で奉職した男性は言う。

「愛子天皇待望論は今もくすぶっていますが、愛子さまは、平穏な家庭を築くご自身の姿を思い描いておられるように思えてなりません。お母さまがお世継ぎを授かることができなかったことで自責の念にさいなまれ続けられたことは十分ご存じだと拝察しています。皇后陛下も、かつて過ごされた一般家庭での生活を愛子さまに経験させたいとお思いでしょう。愛子さまが求めているのは皇位継承とは無縁の未来であり、まさに成子内親王のようなごく普通の主婦像のように思えてなりません」

*引用では旧仮名づかいと旧字体について現在のものに手直しをしています

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。主に紙媒体でロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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