コンビニで外国人の店員から「フクロ?」と聞かれてもムッとしないで…日本人は“時給に見合わない接客”を求めすぎではないか
ウチにはバナナシェークなんて
私のこうしたサービスに対する感受性を育んだのは、1987年から1992年まで住んだアメリカのファストフード店での体験なのかもしれない。英語がまだあまり喋れない初期の頃、マクドナルドで「バニラシェーク」を頼もうとした。
しかし、日本人あるあるなのだが、「Vanilla」が「Banira」として店員には聞こえてしまった。日本語には「V」と「L」の発音はない。だから、「V」と「B」、「L」と「R」が混在する結果となり、「B」と「R」の発音が強い英語を話すことになる。私は「バニラシェーク」と言ったのだが、店員はブスッとしながらこう言った。
「We ain’t got no banana shake, huh!」(ウチにはバナナシェークなんてねーんだよオラ!)
すさまじい英語である。まず、「ain’t」というのは「don’t」を相当ラフに崩した言葉だし、否定形の「ain’t」の後に「no」を着けるのは文法的に誤りかつ「面倒くせぇーな」的なニュアンスを強める言葉となる。最後の「huh!」は「ハァァァァ????」という呆れを意味する。
私は英語が通じなかったことで「えぇとえぇと……」とおずおずとしていたら、彼女は私のその様子を見て「Next!」と言い放ったのだ。要するに、注文をすることすらできぬこの客はとりあえず見捨て、次の客に対応する、ということだ。この時「V」「B」「L」「R」の違いが根本的に存在し、日本人の英語が容易に通じないことを理解した。
こうなると私はバニラシェークを隣のもう少し優しそうな店員に頼むこととなる。「Vanilla」の発音に自信がないため「White shake」という言い方をした。彼はニッコリ笑って対応してくれたが、隣の彼女はブスッとしながら客を捌き続けている。これが安い時給のあるべきサービススタイルなんだな、ということは理解した。だからこそ、私自身、日本のコンビニで外国人が「フクロ?」とだけ言っても何も気にならない。むしろ快適なのである。









