71%が「米国社会は崩壊」と回答…「政治家の暗殺・未遂」は60年代以降最多、名物TV番組は終了 悩める超大国の金融市場に立ち込める暗雲
小売を支える上位10%の高所得層
米連邦準備理事会(FRB)は、9月17日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、9カ月ぶりに政策金利を0.25%引き下げた。物価高の長期化リスクがくすぶる中、FRBは景気維持へと政策の重点を移さざるを得なかった。
株式市場は引き続き好調だが、米国経済は既にリセッション(景気後退)入りしているのではないかとの指摘が出ている。
16日に発表された8月の小売売上高は前月比0.6%増と、3カ月連続でプラスとなった。だが、中身をみると、消費の約半分を占める上位10%の高所得層に支えられる構図が鮮明となっている。
高所得層の旺盛な消費を生みだしているのは株高だが、市場はバブルだとの懸念が生まれておいる。個人消費が今後も好調に推移する保証はないだろう。
中低所得層を巡る環境も厳しくなるばかりだ。信用情報企業フェア・アイザックが17日に発表したレポートによれば、米国の消費者信用スコアはリーマンショックの影響を受けた2009年以来の大幅な低下となった。スコアの低下が著しいのは10~20代で、学生ローンの負担が影響した。
「炭鉱のカナリア」黒人労働者の失業率が上昇
雇用市場で黒人労働者の失業率が上昇していることも気になるところだ。
黒人労働者の8月の失業率は7.5%に達し、2021年10月(7.6%)以来の高水準を記録した。黒人労働者の失業率は「炭鉱のカナリア」と呼ばれ、その上昇は雇用市場全体の減速を予兆することが多いからだ。
住宅市場も低調だ。17日に発表された8月の一戸建て住宅着工件数は年率換算で前月比7.0%減の89万戸に落ち込んだ。
一方、インフレを警戒する声も根強い。サマーズ元財務長官は19日に公開されたブルームバーグのインタビューで「米経済にとって最大のリスクは雇用ではなくインフレだ」と強調した。
思い起こせば、1970年代初頭、景気減速を恐れる当時のニクソン大統領がFRB議長に利下げを求めたことで、その後、2桁を超える大インフレを招いてしまった。
米国経済がスタグフレーション(不景気の物価高)に陥るリスクが高まっているのではないかと思えてならない。
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