チョコプラ丸刈り謝罪は「不誠実」か「芸人の意地」か 賛否両論を呼んだ一手に好印象

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

松尾の舌禍騒動

 チョコレートプラネットの松尾駿の舌禍騒動が大きな波紋を呼んでいる。彼はコンビのYouTube動画の中で、芸人仲間がネット上で理不尽な誹謗中傷を受けたことに怒りを示していた。そこでこんなことを言った。【ラリー遠田/お笑い評論家】

 ***

「誹謗中傷に関してだけど、芸能人とかアスリートとか、そういう人以外、SNSをやるなって。素人が何を発信してんだってずっと思ってる」

 この発言は、本人にとってはあくまでも「理不尽な誹謗中傷をする人間に対する批判」のつもりだったのだろう。だが、言葉の選び方があまりにも乱暴だった。「素人」という表現で一括りにして「SNSをやるな」と命令口調で切り捨てる物言いは、多くの人にとって高圧的で傲慢に響いた。

 現代においてSNSは芸能人だけのものではなく、誰もが自由に意見を発信するための生活インフラのような存在である。それを「やるな」と頭ごなしに封じるような言葉は、一般の人々の感情を逆なでする結果となった。芸能人以外の一般人を見下すような「素人」という言葉にも問題があった。

 当然のごとく批判の声が殺到し、動画は削除された。その後、彼らは改めて謝罪動画を出した。神妙な面持ちの2人が真摯に謝罪と反省の言葉を述べた。そこで騒動はいったん収束してもよかったはずだが、意外な展開を見せたのはその直後だった。チョコプラの2人はおもむろにバリカンを取り出し、その場で自らの頭を剃り始め、丸刈りにしてしまったのである。

 この行為は、伝統的に「誠意を示す」「けじめをつける」といった意味合いを持つパフォーマンスとして理解される面もある。しかし、その突飛な行動はどこかコントのようでもあり、真剣な謝罪を求めていた視聴者を戸惑わせた。

 しかも、問題の発言をした張本人である松尾はもともと短髪で、坊主にしても外見の変化はごくわずかである。むしろ、比較的髪の長かった長田庄平の方が大きくイメージを変えることになり、一番割を食っている。このパフォーマンスが「ふざけている」「笑いを取ろうとしている」「反省の色が薄い」といった新たな批判を招くことになった。

次ページ:高度な芸人の流儀

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。