バットを蹴飛ばしたバウアーだけじゃない…グラウンドで投手がぶち切れた!なぜ、そんなに怒り狂ったのか?

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 DeNA・バウアーが8月21日の広島戦の5回2死、小園海斗を右飛に打ち取ってベンチに戻る際に、転がっていた小園のバットを足蹴にし、日本のみならず、韓国メディアも問題行動として報道した。思いどおりの投球ができないイライラからバットに八つ当たりしたようだが、バウアーは2023年7月1日の中日戦でも、味方の拙守に足を引っ張られた腹いせに放送禁止用語を連発した“前科”がある。そして、バウアー以前にも、投手のぶち切れパフォーマンスは何度となくあった。【久保田龍雄/ライター】

暴れ過ぎたから代えたんや

 “伝説のぶち切れパフォーマンス”で知られるのが、阪神時代の下柳剛だ。

 CS進出がかかった2007年10月1日の横浜戦、4回まで気迫の投球で無失点に抑えた下柳だったが、5対0とリードし、勝利投手の権利を得る直前の5回に事件が起きる。

 1死一塁、呉本成徳の併殺コースの二ゴロを、ベースカバーに入ったショート・田中秀太の足が離れ(記録は野選)、まさかのオールセーフになったことが序曲だった。

 思いどおりにいかない展開に、下柳は苛立ってマウンド周辺をウロウロしたが、何とか気持ちを落ち着かせると、次打者・仁志敏久を併殺コースの遊ゴロに打ち取ったかに見えた。

 ところが、この打球を田中がファンブルし、1死満塁とピンチが広がってしまう。

 次の瞬間、「何で捕れないんだ!」とばかりに怒りを爆発させた下柳は、マウンドにしゃがみ込むと、駄々っ子のように後方にひっくり返った。

 悪いときには悪いことが重なるもので、次打者・相川亮二の遊ゴロも、田中が今度は慎重にいき過ぎて併殺崩れとなり、1点を失った。再びぶち切れた下柳は、マウンド前方にグラブを叩きつけて悔しがった。

 だが、金城龍彦を右飛に打ち取り、ようやくスリーアウトになると、興奮も収まったのか、ベンチに戻って、捕手の矢野輝弘と笑顔で言葉を交わすシーンも見られた。

 6回からリリーフを送られ、岡田彰布監督に「暴れ過ぎたから代えたんや」と言われたものの、5回1失点で勝利投手となり、3年連続の二桁勝利を達成。試合後は「あんなことやっちゃ、いかんわ。みんな一生懸命やってるのに申し訳ない」と反省しきりだった。

 この日のパフォーマンスについて、現役引退後の下柳氏は「あそこまで分かりやすい態度を取ったのは、チームに漂っていた気の緩みを引き締めたいとの思いがあったから。立て続けに遊ゴロを打たせる投球をしたのも、秀太がエラーを引きずらないように気遣ったからだった」(2024年4月24日付・東京スポーツ)と打ち明けている。

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