バットを蹴飛ばしたバウアーだけじゃない…グラウンドで投手がぶち切れた!なぜ、そんなに怒り狂ったのか?

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ああいうことは、2度とやらないと誓うよ

 ヘルメットに八つ当たりしたことが、自軍にとんでもない災難を及ぼす結果になったのが、広島のルイスだ。

 2009年9月30日の横浜戦、2回に栗原健太の左越えソロなどで2点を先制した広島は、なおも1死一、二塁のチャンスで、8番・ルイスに打順が回ってきた。

 ここは当然送りバントの場面。だが、ルイスは投飛を打ち上げ、走者を進められない。

 悔しさをあらわにしてベンチに引き揚げてきたルイスは、腹いせにかぶっていたヘルメットを地面に叩きつけた。

 ここまでならよくある話なのだが、跳ね返ってきたヘルメットが、よりによって2点目のホームを踏んだフィリップスの右目に当たってしまう。

 顔に手を当ててうずくまったフィリップスは、そのまま負傷交代し、序盤で5番打者がいなくなるという不慮の事態に、日頃はベース投げなどの過激なパフォーマンスで知られるブラウン監督も「本当にくだらないことが、ベンチ内で起こった」とオカンムリだった。

 ルイスも「ああいうことは、2度とやらないと誓うよ。(マウンドで)気持ち良くなかった。でも、試合をやっていたから、投げないといけなかった。(ヘルメットが)自分に跳ね返ってくれば良かったのに」と自らの短気を猛反省。フィリップスへのお詫びのしるしに、7回を9奪三振の1失点に抑え、外国人投手では球団初の2年連続二桁勝利を記録した。

不運はさらに続く

 外国人投手の最多連勝記録に王手をかけながら、度重なる不運にぶち切れ、バットを叩き折ってしまったのが、巨人・マイコラスだ。

 2016年8月14日のヤクルト戦でシーズン3勝目を挙げ、2年がかりでソフトバンク・バンデンハークと並ぶ外国人最多タイの14連勝を記録したマイコラスだったが、新記録達成までの道のりは遠かった。

 8月23日の広島戦では、7回を5安打無失点に抑えながら、打線の援護なく、0対0で降板したため、白星ならず。

 同28日のDeNA戦も2回に雨が激しくなり、1時間15分の中断を挟んで再びマウンドに上がるというメジャーでは考えられないような起用にぶち切れ、3回の打席で三振に倒れた際に、バットを両手で水平に持つと、太ももに叩きつけて、ポキリと真っ二つに折ってしまった。

 紳士の球団の選手とは思えない粗暴な行動に、ネット上でも「怖い」「マイコ怒ってるなあ……」「簡単に折れるのかよ」といった驚きの声が相次いだ。

 その後、2対1とリードし、勝利投手の権利を得ながら、6回2死から倉本寿彦に同点打を浴び、またしても15連勝目はお預け。

 試合後は冷静さを取り戻し、「僕はいい打者だから、バットのせいにしてしまったよ」のジョークも聞かれたが、不運はさらに続く。

 9月4日の中日戦も、7回まで3安打無失点に抑えながら、味方のエラーがきっかけで1点差に迫られた8回2死二、三塁で降板後、リリーフのマシソンがエルナンデスに逆転2点タイムリーを浴びたことから、自責点ゼロで負け投手に……。とうとう連勝記録まで途切れてしまった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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