日本で働く外国人、最多は「ベトナム人」なのに…ネット上で強まる批判にベトナム人の妻と暮らす日本人が感じること
アフリカ各国と日本の4つの市が「ホームタウン」協定を結んだことで「移民が日本に押し寄せて治安が乱れる!」的な意見がネットでは多数書き込まれた。それと同時に、ベトナムを中心とした「技能実習生」の狼藉も書き込まれる。
ベトナム人については、技能実習生として所属した組織を逃げ出した後、果樹園から果物を盗んだり家畜を殺したりといったニュースを目にすることがある。その際ネットには「またグエン案件か」と書かれるのが定番だ。ベトナム人に「グエン」という名前が多いことから、ベトナム人による犯行は「グエン案件」と呼ばれるようになったのだ。【中川淳一郎/ネットニュース編集者】
【写真】なぜネットで外国人叩きが起きるのかがよくわかる! 筆者が24年前に書いた「ウェブはバカと暇人のもの」の中身
強まる在日ベトナム人への批判
だが、このような決めつけはあまりしない方がいい。大多数の在日ベトナム人はまともな人だ。ベトナム人による犯罪をチェリーピッキングして「だからベトナム人は危険だ。よって移民を受け入れてはいけない」という論調に持って行くのはいかがなものだろうか。
私自身は、日本は移民を積極的に入れなくてもいいと思っている。何せもはや、少子高齢化が引き起こす問題は、移民によって解決するレベルではないと思うからだ。なんだったら移民を入れず、日本の人口を6000万人ほどまでなだらかに減らしていく方向でいいのでは、とすら思っている。
だから政府が補助金を出してまでベトナムを含めた移民を招くよりも「来たい人が勝手に来ればいいのでは」と思っている。その点で保守派の考えに近いのだが、それはともかく、明らかに昨今のベトナム人に対する批判は強過ぎると感じるのだ。在日ベトナム人の妻を持つ40代男性・A氏は日本におけるベトナム人への苛烈な批判的論調についてこう語る。
「僕としては非常に不快。一人が悪いことをしたら全員が悪いことにされる。事件が起こったら『またベトナム人か』、とされる。元々2010年代は様々な事件が発生したが、在日コリアンのせいにされた。今はベトナム人になっている。その属性の一人が悪いことをしただけで、全員が悪いことにするな、と思います」
A氏の妻は現在、食品加工工場で働いており、幸せに過ごしている。夫は彼女のベトナムの実家を訪れるなどして一族との交流をしている。だからこそ彼は一律に「ベトナム人は悪辣だ」という意見に対して異議を呈したいと語る。
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