5kg=6200円の「美少女イラストあきたこまち」に予約殺到…それでも「JAうご」組合長が「今のままでは安心してコメを作れないし、新規就農者も増えない」と明かす納得の理由
政府の動向も気がかりである
――羽後町の米農家の数は、減少傾向にあるのか。
佐々木:減っています。高齢化が進んでいますし、機械の価格も高騰しているので、その更新ができない方は稲作農家を辞めてしまうのです。若い人のなり手は少ないと思います。ここにきて、米の値段が上がっているので、取り組もうかと思っている人もいますが、機械や田んぼなどに投資をしなければいけないので、簡単ではありません。
40年以上前に国が主導して、需給バランスを良くするために生産調整を始めました。米価は安くなりましたが、その間に稲作農家が育たなかった。それが、米農家が不足している原因だと思います。大いに悔やまれます。羽後町は米作地帯なので、米は農業の大黒柱です。米の生産量と価格が安定しているからこそ、園芸作物や花卉(かき)、畜産などの複合経営ができるわけですから。
――政府の米に関する政策は二転三転している。
佐々木:今になって、政府は急に米を増産しろと言いだしました。しかし、その結果、米価が下落したときはどうするのか。対策を考慮した上で増産を口にしてほしい。その意味で、農水大臣の小泉(進次郎)さんはパフォーマンスばかりな印象が否めません。
仰ることはわかりますし、机の上での勘定はそうかもしれないが、現場でそんなことができるかというと簡単な話ではありません。余れば輸出すればいいと言っていますが、これほど高い日本米をいったいどこの国が買ってくれるでしょうか。私は、そんな国がたくさんあるとは思えないんですよ。
新規就農者に国はお金を出していますが、ハイやりましょうと思ってできることではありません。農業は、工業製品ではないので、毎年同じ時期に同じことをやっても同じものができるとは限らないためです。そこを理解してから就農しないといけないと思います。
とにかく、おいしい日本の米を食べてほしい
――佐々木さんの話を聞いていると、JA、農家も国によって振り回されている印象を受ける。
佐々木:令和の米騒動で、多くの人の関心が米に集まりました。食べられなくなって騒ぎになること自体、米が日本の主食であり、重要な農産物であることの表れだと思います。米の価格が上がりすぎると、消費者の米離れが起こり、結果として農家も苦しくなる。増産を推進するのであれば、万が一、消費量が減少してきたときの対策を国が示してほしい。そうしないと、農家は安心して米作りはできないと思うし、新規就農者も増えないのではないでしょうか。
繰り返しますが、増産するのであれば、余ったときの対策も考えてほしい。その両輪で政策を進めてほしいと思います。
――最後に、JAうごのあきたこまちの新米を期待している人に向けてコメントをお願いしたい。
佐々木:とにかく、おいしい日本のお米を食べてほしいですね。特に子供たちに食べてほしい。私たちは品質には自信がありますので、ぜひ一度食べていただきたい。子供の頃に食べたおいしい日本のお米の味を覚えていれば、大人になっても国産米を食べてくれます。米がおいしいだけで、食事がまったく違ってきますから。きっと価格にも納得していただけると思います。
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