小泉進次郎氏の2時間の説得で「石破さんの心境に変化が」 首相退陣を決意させた言葉とは
「このまま続けても、晩節を汚すだけだ」
解散に突き進もうとする首相に立ちはだかったのは長島氏だけではなかった。
「首相は森山裕幹事長(80)からも“解散するなら私は関知しない。党四役なしで一人で戦えますか”と突き放されていました」(前出の官邸関係者)
首相が親しい関係者にメールで〈塵芥のような者は神様の御加護に縋(すが)る他はありません〉と送る場面もあったという。
もはやまともな精神状態とはいえないが、それでも解散をあきらめない首相に対して、直接、怒りをぶつけた人物がいる。菅義偉副総裁(76)である。7月の参院選直後、菅氏は他の総理経験者と共に石破首相と会談した際、「党の分裂だけは避けねばならない」と語っていた。しかし、
「石破首相は臨時総裁選の是非を記名・公表式で問うなど、まさに党を分裂させかねない事態を招いた。しかも、自分の思い通りにならない場合は解散も辞さないという。菅氏は5日、首相に電話をかけて解散なんて考えは捨てて、退陣するように強く迫ったといいます」(政治部デスク)
その後、菅氏は小泉農水相とも電話で話して危機感を共有。かくして6日夜、二人はそろって官邸に乗り込んだのである。
「菅氏は首相に“このまま続けても、晩節を汚すだけだ”と語りかけたと聞いています。また、小泉氏は来たる総裁選への出馬の意向を伝えるとともに、“石破路線”の継承を約束したのです。首相は会見で“後進に道を譲る”と述べていますが、あれは小泉氏を念頭に置いたものでしょう」(前出の官邸関係者)
「小泉氏が2時間向き合ったことで、首相の心境に変化が」
もっとも、首相は当初、“私を辞めさせようとする連中がいる、負けてはいけない”と、相当意固地になっていたという。二人は首相のかたくなになった心を解きほぐす必要があった。菅氏は40分ほどで官邸を後にしたが、小泉氏は約2時間、首相と膝を突き合わせた。
政治ジャーナリストの青山和弘氏が明かす。
「菅氏は、自身が退陣した際の経験も交えて首相に語りかけたといいます。小泉氏も一人残り、首相のやりきれない胸の内に耳を傾けました。そして首相の実績をたたえつつ、“党を分裂させては元も子もない”と諭したのです。結局、その場で首相が退陣を明言することはありませんでしたが、小泉氏が2時間向き合ったことで、首相の心境に変化が生じたのは確かでした」
小泉氏は「なぜ私がこんな役回りを……」とこぼしていたというものの、氏に鈴を付けられて首相も覚悟が定まったようだ。
「翌日、首相は官邸で主戦論者の赤澤氏らに囲まれた際、“推薦人が集まらない”と伝えられて最終決断に至っていますが、その前にほぼ退陣の意向は固めていました」(前出の官邸関係者)
退陣表明直後に直接電話で話をした衛藤征士郎前衆議院議員(84)によると、首相は吹っ切れた様子で、9月23日から米・ニューヨークで開催される国連総会には「絶対に行きます」と語ったという。もっとも、世間の目はすでに首相の花道ではなく、総裁選の行方に向いている。
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