「技術のアップデート速度」が「キャラの消費速度」を上回る 若槻千夏が“再ブレーク”の理由

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秋から新番組

 テレビ朝日の深夜バラエティ枠「バラバラ大作戦」で、この秋から新番組「若槻千夏のうるさい心理テスト」が始まることになった。若槻千夏が心理テストを題材にしてゲストと語り合うトーク番組である。【ラリー遠田/お笑い評論家】

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 すでにレギュラー・準レギュラーとして数々のバラエティ番組に出演している彼女だが、冠番組を持つのは久々のことだ。一度は芸能界を離れてアパレル業に専念していた彼女が、ここへ来て再ブレークを果たしている。若槻がテレビの世界でこれほど重宝されているのはなぜなのか。

 第一に、若槻は抜群の対応力を持っている「バラエティ職人」である。番組で話すことを事前に考えて、入念な準備をする。MCのタレントの性格や特徴を研究して、どういう動きをすれば気に入られるのかというのを徹底的に考えて、それを実践していく。バラエティ攻略のコツをノートに記録しているのは有名な話だ。彼女は一見するといい加減で大雑把な性格に見えるが、実は仕事に対しては誰よりも繊細で研究熱心なところがある。そういう部分があるからこそ、息の長い活躍ができているのだ。

 第二に、彼女は時代に合わせたアップデートができている。若槻が若かった頃は、ほかのタレントを押しのけてグイグイ前に出て、積極的に話をするのが正しいやり方だとされていた。しかし、復帰後にはすでに時代は変わっていて、そのようなガツガツしたスタイルが受け入れられないということに気付いた。そこで彼女は方針を転換して、SNSにおける視聴者の反応なども研究して、控えめな動きをするようになった。順番が回ってきたときには話をするが、それ以外ではあまり出しゃばらないようにする。この押し引きのコツをつかんだことで、復帰後の彼女はスタッフから信頼される存在になった。

 若槻千夏は2000年代前半にグラビアアイドルとして芸能界に登場し、その明るさと奔放なキャラクターで瞬く間にバラエティ番組の常連となった。当時は率直な発言や軽妙なトークで注目を集める「おバカキャラ」として人気があった。若い女性タレントでありながら、男性の芸人たちと同じ土俵で笑いを取りに行く果敢な姿勢が彼女の大きな魅力だった。

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