鍵開け業者“2,200円~”のはずが請求10万円…ぼったくり(?)被害者は約8万円をどう取り戻したか
消費生活センターに電話
「断って、イチから別の業者を探そうと思わなくはなかったんですが、もう8時を過ぎていて、疲労困憊状態だったので、『じゃあ、お願いします』と返事しちゃったんです。後悔先に立たず、です」
その後、ものの15分で開錠してくれたBさんに、木村さんはクレジットカードで10万100円を払い、領収書をもらった。
木村さんは、しばらく悶々とした。いくらなんでも高すぎた。悪徳業者だったのではないか。でも、私が「お願いします」と頼んだのだしーー。失くした鍵の遺失物届を出しに交番に行ったときに話を聞いてもらったが、「会話の録音が、あなたが納得して支払った証拠になる」と取り合ってもらえず、「もうどうしようもできないんだ」と諦めようとした。
しかし、クレジットカードの引き落とし日が近づいた7月に木村さんはふと思った。「消費生活センター」に相談すればいいかもしれないと。
調べると、消費生活センターは各区にあり、電話で相談できると分かり、木村さんは居住区のセンターに電話した。
「まさにこのチラシのケースですね」
「ダメでもともとの気持ちでしたが……。相談員の方が、『まさにこのチラシのケースですね』と、『予想外に高額な請求をする鍵開け業者にご注意を!』と記したチラシを掲載したホームページを案内くださった上、『鍵業者への苦情は多く、“消費者に十分考慮する時間を与えずに契約させた訪問販売とみなす”と消費者庁が見解を示しており、クーリング・オフできる可能性が高いです』とおっしゃってくださって」と木村さん。
加えて、「クーリング・オフの記載例」として、「契約解除通知書」の書き方が載ったサイトも示され、「契約に至った経緯の詳細と、これを消費生活センターに相談した上で出すことを添え書きし、作業の想定料金との差額の返金を求めればいい」とアドバイスを受けたそうだ。
あまりにもスムーズに返金
「私、作文、頑張りました(笑)。あの作業に対して、消費税込み2万2,000円なら納得できると思ったので、『支払った10万100円との差額、7万8,100円の払い戻しを求めます』と書いたんです」
メール、ファックス、郵便のどれでもよいとのことだったが、木村さんはファックスでA社に送った。すると、なんと3日後にA社から「このたびは弊社が行った作業の件でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」などと書いた詫び文と共に、「手続き済みのため、クレジットカードからはいったん引き落とされますが、差額を振り込むので口座番号をお知らせください』との書類が届き、知らせた3日後に7万8,100円がきっかり振り込まれたのだという。
「正直、あまりにもスムーズにA社が非を認め、返金してきたことに驚きました。私のように返金を求める人が多いからなのか、少ないからなのか。分かりませんが、ネットにはA社ほか開錠の悪徳会社への怒りの声がたくさん載っています。皆さん、私と同じ方法でお金を取り返してくださいーー」(木村さん)
クーリング・オフについての新見解
消費者庁に問い合わせると、「特定商取引法第26条第6項第1号」の見解が、2021年8月に変わった。鍵開け業者が『訪問販売等の適用除外』の対象から外された」(取引対策課)とのこと。つまり、それ以来、「予想外に高額な支払いを強いられた鍵開け」へのクーリング・オフが、訪問販売と同様に、できるようになったのだ。
今後、木村さんに続く人たちが続出しそうだ。
※特定を避けるため、記事内の金額の一部は実際の請求額から変更しています。





