父子“水入らずの会話”がリスクという皮肉…チャールズ国王と再会したヘンリー王子は「英王室のモットー」を守れるか
親子水入らずが「リスク」になる現状
懸念事項の1つは次期国王、兄のウィリアム皇太子である。対面を受け入れたチャールズ国王とは異なり、ウィリアム皇太子は2024年8月に出席した叔父の葬儀で「一定の距離を保った」と報じられるなど拒絶の姿勢を崩さない。その根源がメーガン妃であることは明白で、ヘンリー王子は2023年1月に出版した自叙伝『Spare』で、メーガン妃との交際をめぐって兄に暴力を振るわれたと“暴露”した。
もう1つの懸念事項は、まさにこうした“暴露”である。王室専門誌「マジェスティ」の編集長で王室作家のイングリッド・スワード氏は英紙「ザ・サン」に対し、「思うに、国王は発言にとても注意する必要があり、部屋に第三者がいない状態で対面するのは賢明ではなかっただろう」と指摘した。なぜなら「(ヘンリー王子のインタビュー発言などが)『記憶に違いがあるかもしれない』のもう一つの例になるリスク」があるからだ。
「記憶に違いがあるかもしれない」は、2021年3月にヘンリー王子夫妻が米のインタビュー番組で“王室内の人種差別”を暴露した際、王室側が発表した声明で使われた言い回しである。つまり王室側は、ヘンリー王子の暴露はもちろん、ロイヤルファミリ―の発言が一方的に解釈され、さらに一人歩きする厄介な展開を繰り返したくはない。父と子の“水入らずの会話”が大きなリスクになってしまうという、非常に残念な状況というわけだ。
“金看板”のパワーを取り戻すための再会?
そんな状況もあり、今回の再会に対する王室専門家たちの評価はさまざまだ。「今後どう展開するかは誰にもわからないが、正しい一歩である」といった称賛は、チャールズ国王に向けられているものが多い。チャールズ国王がヘンリー王子を拒絶しない理由の1つは、米国で暮らす孫のアーチー王子とリリベット王女に会いたいからだとも言われ、来年には対面が実現するのではないかという話も出ている。
かたや、ヘンリー王子に対する見方はやはり厳しい。「ヘンリー王子にとって大切なのは、国王がお茶に招待し、彼がそれに応じたと世界に知らせることだ」など、英王室という“金看板”のパワーを取り戻すための再会だったと示唆するようなコメントもあった。
「けして不平を言わず、説明もしない」とは、エリザベス女王が特に重要視した王室のモットーである。ヘンリー王子が今回の再会を「真の一歩」にしたいのならば、敬愛する祖母の教えを今度こそ肝に銘じる必要がある。英紙「デイリー・メール」によれば、ヘンリー王子はチャールズ国王と会う前に、会話の内容を他言しないと約束していたという。






