阪神優勝で「道頓堀ダイブ」続出 大腸菌ウジャウジャ…「日本シリーズ優勝のほうが危険」と専門家が警鐘のワケ
《折角なので道頓堀に寄ったら日本一治安良さそうだった》
プロ野球・阪神タイガースが7日、2年ぶり7度目のセ・リーグ優勝を果たした。大阪府警によると、危険行為である“道頓堀ダイブ”を防ぐため、大阪ミナミの道頓堀周辺で 1,000人規模の雑踏警備、過去に飛び込み台として利用された戎橋(えびすばし)に通行規制をかけるなどの厳戒態勢を敷いたという。冒頭のXポストはそれを踏まえたもので、多くの“いいね”がついていた。
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【写真】大阪府警の鉄壁のガードをすり抜け、ミャクミャクとカッパが大腸菌だらけの川にダイブ…!
前日6日にも吉村洋文大阪府知事が、《【お願い】》として《阪神勝利。マジック1。もし、明日、阪神タイガースが優勝しても、道頓堀川には飛び込まないで下さい。危険です》と自身のXに投稿している。
だが、蓋を開ければ、8日午前0時30分までで延べ29人が道頓堀川に飛び込んだ。
2003年の優勝時には5,300人が飛び込み、1人が死亡。2023年には延べ37人が飛び込んだ。行政と府警の苦労の甲斐があっての減少傾向とはいえるが、SNSで確認できただけでも、カッパの衣装を身につけた2人組や、外国人、中には大阪万博のキャラクター・ミャクミャクのコスプレで飛び込む姿も。飛び込んだミャクミャクの頭部が外れ、川面に打ち捨てられているのを回収したファンは…。
《呪いで55年間も阪神優勝しないと困るから道頓堀に飛び込んだミャクミャク回収したw》
世にいう“カーネル・サンダースの呪い”(1985年の阪神優勝時に道頓堀川に投げ捨てられたカーネル・サンダース人形の呪いによって、その後17年連続で優勝を逃したという都市伝説)と、大阪での万博開催が「55年」ぶりだったことにかけて投稿、これも7万8千いいねを得た。
糞尿交じりの水
「お祭り騒ぎの中で、こういった人たちが目立ってしまうのは本当に危険。目立ちたいなら、のど自慢大会に出場するなど方法は他にもある。マスコミの影響力は大きいので、もっと命にかかわる行為であることを伝えてほしい」
こう警鐘を鳴らすのは、大阪府大阪市北区にある日本分析化学専門学校の専任講師、宮道隆さんだ。同校では、2003年の阪神タイガース優勝の翌年2004年から現在まで「Stop The 道頓堀ダイブ」のテーマのもと、学生の課外活動として道頓堀川の水質調査を年4回、行っている。
「最近では6月と8月に調査していますが、100ミリリットルの水に対して大腸菌の数が200~5,000と、とても多かった。ちなみにプールでは“ゼロ”あることが遊泳条件 です。こんな大腸菌にまみれた水に飛び込むなんて危険きわまりない行為。学生たちの調査では、大腸菌の数までしか調査しておらず、どんな種類の大腸菌が含まれているかわからない。例えばO157などがいれば、下痢くらいではすまない可能性も出てきます」(宮道さん、以下同)
O157は大腸菌の中でも特に強い毒性を持つ。出血を伴う腸炎や、溶血性尿毒症症候群を引き起こし、死亡例も少なくない危険な菌だ。そもそも大腸菌自体が腸内細菌のひとつであり、人や動物の腸管や便に分布するもの。つまり、“糞尿交じりの水”に飛び込むのと同じくらい、とんでもない危険行為を犯していることになる。
「パリ五輪の時にも、セーヌ川はきれいだ、大丈夫だといってトライアスロン競技が決行されました。でも、セーヌ川で泳いだ結果、ベルギーの女性選手が大腸菌感染症で入院しています。もちろん大腸菌だけでなく、その他の細菌も多くいる。下痢、嘔吐、目の充血…それ以外にもどんな健康被害が出るか、わからないのがおそろしいんです」
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