村上宗隆と岡本和真がメジャー流出で“投高打低”が加速も…ドラフト戦線に浮上する「スラッガー候補」7人の実名
好調をキープできれば
大学生でもう一人注目すべき選手は、大阪学院大の外野手、エドポロ・ケインだ。父はナイジェリア出身、母は韓国出身。6歳上の兄・ジョセフは社会人野球でプレー経験があり、3歳上の兄・キングは総合格闘家として活躍する“スポーツ一家”で育った。
ケインは日本航空出身で、3年生の時に夏の甲子園に出場したほか、大阪学院大でも早くからレギュラーの座を獲得し、スカウト陣から熱い視線を注がれている。
「遠くへ飛ばす能力は、他の選手を凌駕しています。彼はどちらかと言えば、不器用なタイプだ。下級生の時は簡単に三振をしていたが、徐々に打てるコースが増えていきました。野球に取り組む姿勢は熱心で、決して素質だけでプレーしている選手ではありませんね。プロ入りした場合、レベルが高い投手に苦労すると思いますが、あれだけ飛ばせる能力は非常に魅力的です」(近畿地区担当スカウト)
今年の関西六大学野球の春のリーグ戦では、左手首を骨折した影響で、わずか5試合の出場にとどまったが、夏場には実戦に復帰する。8月30日に開幕した秋のリーグ戦は、5試合で3本塁打を放つ活躍を見せている(9月7日終了時点)。好調をキープできれば、一気に評価を上げるだろう。
続いて、社会人について。注目度が高い選手は、ENEOSの外野手・村上裕一郎をはじめ、JR東日本の三塁手・高橋隆慶とSUBARUの一塁手、外山優希である。
村上は社会人野球の「2024年度・最多本塁打賞」を獲得した右のスラッガー。都市対抗野球で1本、JABA長野県知事旗争奪大会で4本、合計5本を放った。
課題はあるものの
今年は厳しいマークにあい、少し調子を落としているが、都市対抗では、巨人・楽天でプレーした高田萌生(JR西日本の補強選手として出場、所属はショウワコーポレーション)から右中間へのツーベースを放ち、長打力を見せつけている。
高橋は、中央大時代から注目を集めている右の大型打者だ。JR東日本に入社後、1年目から不動の4番となり、今年もホームランを量産している。大学時代と比べて、上手に力を抜いてスイングができるようになり、対応力も上がっている。
外山は専修大時代、東都大学二部で活躍していた左の強打者だ。SUBARUでも早くから4番を任され、今年の都市対抗予選では、3試合で2本のホームランを含む4本の長打を放ち、チームの第一代表獲得に大きく貢献した。右方向に引っ張るだけでなく、センターから左方向へも大きな当たりを打つことができる。
最後に、独立リーグから。日本海リーグ・石川ミリオンスターズの外野手、大坪梓恩がドラフト戦線に浮上している。千葉学芸を1年で中退後、通信制の屋久島おおぞら高校(千葉キャンパス)へ転校し、クラブチームと専門学校でプレーを続けたという珍しい経歴を持つ。
昨年、石川に練習生として入団した。1年目は23試合に出場して打率.240、3本塁打に終わったが、2年目の今年は、ここまで39試合で打率.301、リーグトップタイの8本塁打と大きく成績を伸ばした。
最大の魅力は、恵まれた体格(身長190cm、体重105kg)を生かしたフルスイング。8月19日に行われた日本ハム二軍との交流戦はシングルヒット1本に終わったが、試合前のフリー打撃では、NPBでもトップクラスの打球速度を記録したという。内角の速いボールや縦の変化球への対応などは課題として残るものの、大学に進学していれば、大学4年生と同じ学年だ。若さがあるだけに、将来性を評価する球団も現れそうだ。
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